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教育ICT

タブレットドリルで放課後学習を支援<BYODで1人1台活用 園田学園中・高>

2018年8月6日

児童生徒の1人1台端末活用が進むと、個別学習のニーズが高まるという調査結果が出ている(JAPET2018)。平成29年4月、新校舎に移転した園田学園中学校・高等学校(古田昇校長・兵庫県尼崎市)は現在、中学校1年生から1人1台の情報端末(iPad)をBYOD(Bring your own device)により導入、活用している。今年度から、放課後学習を中心に、情報端末上でできる「問題データベースタブレットドリル」(東京書籍)(以下、タブレットドリル)の活用を開始した。

問題を解く量が増える

3学年が1教室に

放課後学習に中1~中3まで約20名が参加

放課後学習に中1~中3まで約20名が参加

放課後、フリールームに生徒が集まってきた。この日は中学校1年生から3年生まで20名ほど。各自で情報端末を起動して、数学の「タブレットドリル」や英語の夏休みの課題、国語の宿題、数学の追試問題などに取り組み始めた。新校舎の全教室には湾曲型のホワイトボードと超短焦点プロジェクターを固定で設置しており、AP(無線LAN)は新校舎と図書室やサブホールがある別棟合わせて約80台を整備済。情報端末300~400台程度が同時接続できる環境だ。

この日の課題として配信されたドリル内容はタブレット上に一覧で表示される。

タブレット上で計算して解答を記入している生徒、ノートに途中式を書きながら解答を記入している生徒もおり、解答後は各自で答え合わせ。不明点があれば教員や友達に質問しながら進める。解説動画を確認する生徒もいる。各自の課題終了後、生徒は部活動などに向かっていった。

放課後学習に集まる生徒は、主に直近の定期考査結果などを踏まえて各教科担任から声をかけられた生徒だ。このほか、自宅で課題に取り組むことが苦手、学校で集中して取り組みたいなど様々な理由で自主的にやってくる生徒もいる。

何度も繰り返しできる紙ドリルより低コスト

取り組み状況を一覧できる

取り組み状況を一覧できる

数学科の吉村章教諭はタブレットドリルを導入した理由について「これまでは紙のドリルを放課後学習や授業に活用していた。紙プリントは一度書き込むと、再度取り組みにくく、繰り返し学習が不足しやすいと感じていた。タブレットドリルであれば何度でも取り組むことができる。計算メモもタブレット上でできるように工夫されているので、通学途中などの隙間時間にも取り組むことができる」と語る。
同校は「中学校入学時に情報端末購入を必須」としている。タブレットドリルの導入は、家庭学習にも情報端末を活用できることを保護者にも示しやすい。紙ドリルよりも導入コストが低い点も利点だ。

学習履歴機能でモチベーション

画面上で計算できる

画面上で計算できる

数学科では当初、好きなプリント2枚に取り組むことを毎日の宿題としており、「その日、ドリルに何枚取り組んだか」を各自で記録。導入後3か月間で、多い生徒で約280枚、少ない生徒でも100枚強のプリントに取り組んでいたという。「学習履歴機能により、取り組んだドリルの一覧や、苦手ジャンルのランキングが出るため、繰り返し解くことが苦になりにくいようだ」と吉村教諭は語る。

分野別のタブレットドリルの平均点と定期考査の点数には相関関係があり、ドリルに取り組むモチベーションの向上につながっている。しかし取り組んだ「プリント枚数」と「定期考査の成績」には必ずしも相関関係がなかった。その理由を調べてみると、満点をとるまで同じプリントに何度も取り組み、定期考査の範囲に取り組めていない生徒がいることがわかった。そこで現在は、理解度や授業の進行に合わせて「必須課題2枚」に取り組むクラス、宿題のほかに自由に2枚取り組むクラス、自由に取り組むクラスなど習熟度別に取り組んでいる。タブレットドリルには「たしかめプリント」「フォローアッププリント」「チャレンジプリント」「ドリルプリント」があり、理解度に合わせたプリントを提供しやすい。「質問も情報端末上でいつでもでき、自宅学習がそれぞれのペースでできる。放課後学習では対面でのフォローが必要な生徒を支援している」と語る。

同校では「問題データベース」(東京書籍)も同時に導入。タブレットドリルは問題データベースと連携した内容になっていることから、定期考査や振り返りテスト作成の際に活用している。

1人1台情報端末 導入して良かった

同校の1人1台情報端末活用は、平成27年度に教員用端末を整備することから始まった。一斉指導での活用を中心に、教員が情報端末の操作に慣れるようにした。

平成28年度以降は、中学校入学時に情報端末を購入。年次進行で導入している。現在高校1年生まで「1人1台」環境で、再来年には中1から高3まで約800人の生徒が情報端末を所有する。

繁明彦教頭は「情報端末と大型提示機器の導入で学習効果は確実に上がった。導入して良かった。1人1台の情報端末を有効に活用するためには教員用端末で大型提示機器を活用できること、家庭でも生徒用端末を活用できることが重要」と語る。教員は情報端末上で教材研究を行い、それを大型提示機器に提示。説明を効率的に進めることができ、生徒自らが調べたりまとめたり発表する時間が増えた。

自宅学習や夏休みの課題も大きく変わった。これまでは紙のプリントによる宿題が中心であったが、現在は生徒用端末に課題を配信。課題提出期限も「夏休み中」に何回かに分けて設定。生徒は不明点があれば情報端末上ですぐに教員に質問できるなど、きめ細かい対応が可能になった。

時間管理も行う。どの教科をどの時間に何分間学習したのか、就寝時間や起床時間なども記入。担任は朝のSHRにそれらを把握して臨む。初めて1人1台の情報端末を導入した生徒は2020年度に大学入試を控えている。今後も「新しい大学入試」に対応できる有効な取組をさらに推し進める考えだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年8月6日号掲載

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