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教育ICT

【第55回】ICTキャンパス 麗澤大学「ヘルプデスクの利用動向調査 設定変更時に問合せが増える」

2018年8月6日
連載

従来乏しかった貴重な調査結果

 麗澤大学は昭和10年に設立。千葉県柏市に本部を置き、外国語学部と経済学部の2学部、および大学院には言語教育研究科と経済研究科が設置されている。

創立者の廣池千九郎博士が掲げた「知徳一体」が教育理念で、道徳教育や人格教育に力を入れている。大学付属の組織として、企業倫理研究センターや道徳科学教育センターなどがある。

同学では、情報教育センターがPCのハードやソフト、無線ネットワークなどの情報教育システムを提供。現在、各大学でICTが活用され、ヘルプデスクも設置されているがヘルプデスクに関する定量的な把握や研究成果は乏しく、麗澤大学においても同様だったという。そこで、ヘルプデスクのさらなる効果的な運用などを目指して、利用動向の変化をまとめた。

利用者3000人PC設置685台

同学のICT活用の概略は次のとおりだ。

システムの利用者数は、学生と教職員合わせて約3000人。

685台(平成29年度)のPCを教室やラウンジに設置。38 台のサーバで運用。Wi-Fiについては88台のアクセスポイントを整備している。

ヘルプデスクは平成12年に開設。ICT関係の相談・質問対応や各種申請の受付、トラブル対応、プリンターなどの消耗品管理、記憶媒体の忘れ物管理などを行う。

相談・質問は窓口、電話、メール(学生は窓口のみ)で受け付け。受付時間は平日9時30分から18時まで。2名の窓口対応者と1名の管理者(非常駐)で対応する。

年間対応件数は3000~5000件

11年間のヘルプデスクの利用動向を調査

今回の利用動向についての調査は、平成18年4月から昨年8月までの期間を対象に行った。

同期間の対応件数を、相談、申請、整備、忘れ物、障害、苦情、その他の7種類に分類しカウントしたところ、毎年3000~5000件あり、相談だけでも年間2000件程度発生していることが分かった。

年度によって対応件数はばらつきがあり、平成28年度は5098件、最も少なかったのは平成20年度の2731件(8月までが調査対象の平成29年度は除く)。

件数にばらつきはあるものの、全システム利用者の約3割~5割がヘルプデスクを利用。利用者あたりの平均質問数は約3~4件。年間に複数回利用している傾向にあることが分かった。

麗澤大学情報教育センターの千葉庄寿氏は「ハード機器やOSが変更になるよりも、操作や設定が変わったときのほうが影響が大きい」と話す。

対応時間短いほど満足度は高い

ヘルプデスク利用者の満足度(学部生を対象)と、窓口対応時間の関連性を調査したところ、対応時間が短くなるほど利用者の満足度も高まるのが分かった。

「対応時間が減少することで、本学の技術担当者がユーザ対応に忙殺される時間も減ってきた。そのため、システム開発に投入可能な時間的・人的資源が確保可能となり、運用全体のコスト抑制につながっているようだ」(千葉センター長)

今回の調査研究は①ヘルプデスクの11年分の運用実績を集計し、今後の研究のための基礎的資料を定量的に示したこと②利用実績とヘルプデスク窓口業務の満足度調査の結果をリンクさせたことの2点に大きな特色がある。

千葉センター長は「利用者が何に困っているか、何を必要としているかは、利用ログからはなかなか得ることができない。その意味で、ヘルプデスクはICTに関する『オープンな』問い合わせ窓口として、今後ますます大きな役割を担っていく」と話した。

(蓬田修一)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年8月6日号掲載

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