全国ICT教育首長協議会は5月16日、総会を行い「全国ICT教育首長アクションプラン」を決定した。
本プランでは次の4点を盛り込んだICT環境整備計画を立案・実行する。▼整備計画策定率100% ▼教員のICT活用指導力100% ▼普通教室の無線LAN整備100% ▼学習者用PC3クラスにつき1クラス程度整備 小学校100% 中学校2020年度までに100% 高等学校2021年度までに100%
そのための実行マニュアルも作成し、勉強会も行う。
横尾俊彦会長(多久市長)は「ICT環境整備計画は、教育の情報化を進めるための第一歩。プランがないと国の交付金なども獲得できない。また、プランがあれば、ビジョンをもった計画であると各自治体の議会に主張することができ、予算確保につなげることができる。『平成31年度までに100%策定済』という目標は簡単なものではないが、覚悟を持って推し進めたい」と語った。産業界に対しては「一斉普及が可能なモデルプランを提案してほしい」とした。
同日、教育ITソリューションEXPOの会場で「首長サミット」が開催された。
基調講演で、梅村研・文部科学省情報教育課長は、「教育の情報化は年々進展しているものの、目標値には達していないこと、地域差が拡大していることが大きな課題である。新学習指導要領では情報活用能力の重要性が重要な資質として位置付けられ、そのためのICT環境整備を進めることも明記されている。そのための財源保障として、地方財政措置も講じられた。ICT教育環境整備方針に則り、予算化してほしい。学校のICT環境整備は自治体にとって喫緊の重要課題。各自治体の実行力が求められる」と語った。
小学校におけるプログラミング教育については「プログラミング教育ポータルを7月に大幅に拡充する。発達段階を踏まえた学習活動の計画的な実施に役立ててほしい」と話した。
「ICT教育首長サミット」では「教育ICT化に向けた環境整備5か年計画」地方財政措置(単年度1805億円)をいかに自治体で実行するかについて討議した。パネリストは北海道清水町・阿部一男町長、福島県郡山市・品川萬里市長、千葉県酒々井町・小坂泰久町長、長野県喬木村・市瀬直史村長、富山県南砺市・田中幹夫市長、富山県射水市・夏野元志市長、大阪府箕面市・倉田哲郎市長、福岡県行橋市・田中純市長、佐賀県多久市・横尾俊彦市長、熊本県山江村・内山慶治村長。司会は東原義訓教授(信州大学)。
アクティブ・ラーニングが可能になるStage3(※6面図参照)の整備からスタートしないと新学習指導要領には対応できない。県単位で動き、Stage3~4を目指し、同時に校務の情報化を推し進めることが望ましい。大学入試がPCで実施されるのか、タブレットなのかにより高校も影響を受ける。
平成23年度から10年間のICT教育環境整備目標を立てて進めており、今年度で8年目。予算は当初の900万から今年度3000万と年々上がっている。地方財政措置の拡充は大きな後押しとなる。都市部との遠隔教育などに活用したい。
今年度からクラウド活用と約6000台の児童生徒用情報端末整備を決めている。学校環境を、既に端末を複数台活用しているという世の中の状況に近づけたいと考え、平成28年度に実証事業を開始して今回の整備が実現した。クラウド活用込で1人当たり年1万6000円程度のモデル。今後は低学年や中学校にも導入を進める。
平成33年度までに大型提示装置と実物投影機の整備を終了する。現在、Stage3の整備に向けて準備中。文科省事業で実施した遠隔授業では3小中学校をつないだが、大変評価が高い。
昨年度から町内中学校2校の230人全員に1人1台の情報端末を整備。中学校はStage4を達成して今年度から授業を始めた。小学校も地財措置を活用して整備。
光回線は届いているものの整備状況としてはStageゼロだが昨年度から3年計画で年5~6億円規模で整備を進めている。ローカルであることのハンデをICTで払拭したい。
今年度から来年度にかけて3クラスに付き1クラス分の可動式PCなどの整備を進める。
小規模校と中規模校との遠隔授業では多様な学びを展開することができ、物怖じしない児童生徒が育つなど大きな成果が上がり、地域の活力維持につながっている。現在はStage4に向かって推進中。ふるさと納税なども活用して3年間で一気に整備したい。今年度から長野県内77市町村で共同調達の取組を進めており、それに伴い校務も県内共通の仕様となる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年6月4日号掲載