教育家庭新聞は本年4~5月、全国の教育委員会を対象に平成30年度教育用タブレット端末・ICT環境整備に関する調査を実施。前回調査は児童生徒用情報端末の整備予定の有無と内容について聞いたが、今回は、文部科学省「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について(通知)」(以下、文科省整備方針)に準じた整備予定を中心に聞いた。市区町村教育委員会から383件、都道府県教育委員会から15件(和歌山県、愛知県、佐賀県、富山県、静岡県、愛媛県、広島県、千葉県、高知県、岐阜県ほか5都県)、計398件の自治体から回答を得た。了解を得た自治体のみ自治体名を掲載。本年は働き方改革に伴い、調査に協力できないというご連絡も数件届いた。
文科省整備方針では、新学習指導要領に示された学習活動を円滑に行う環境として3クラスに付き1クラス分の可動式PCの整備を求めている。
この台数に対応している都道府県教委は現時点で佐賀県のみ。佐賀県では平成26~29年度分は一部県費にて補助していたが平成30年度から備品として整備する。
文科省整備方針までには至らないものの、PC室とは別に可搬型整備をしているのは次の自治体。▼富山県=高校1校につき、タブレット端末42台(特支20台)を整備。平成30年度は12校(特支3校)を予定 ▼静岡県=高校1校あたり40台もしくは80台の普通教室用(持ち運び用)端末を整備。
検討中と回答したのは次。▼愛媛県=BYODを検討中 ▼千葉県=導入に向けて検討中 ▼岐阜県=高等学校について整備計画を検討中。特別支援学校については1学級につき1台整備。
このほか「整備計画はあるが予算確保が難しい」と回答した自治体、「整備計画はない」という回答も1件あった。
可動式PCを活用するためのネットワーク環境整備も求められている。この回線についてはほとんどが無線LANもしくは検討中という回答。富山県は、高等学校は無線LAN、特別支援学校はLTEを整備する。
文科省整備方針では普通教室及び特別教室への無線LAN整備100%を求めている。
無線LAN整備について、普通教室・特別教室・体育館整備を完了しているのは佐賀県のみ。増設を検討しているのは、広島県ほか。高知県は平成30年度公衆無線LAN環境整備支援事業(総務省)を活用する。整備計画に則り順次整備中としているとしているのは、富山県、静岡県ほか1県。
文科省整備方針では全普通教室に大型提示機器を整備することを求めている。
全普通教室・特別支援教室に整備済としているのは佐賀県ほか。富山県は全日制高校に整備済。静岡県は普通教室に整備済。岐阜県は31年度以降に整備予定。広島県は1校1台以上整備済で他は検討中。このほか、普通教室のみ全教室設置予定で平成31年度完了が1県。「検討する必要がある」のほか「予定なし」も1県ある。
働き方改革につながる環境整備の1つとして整備が求められている統合型校務支援システムだが、回答を得たほぼすべての教委が統合型校務支援システムを整備している。リプレイスもしくは拡充予定は、岐阜県、愛知県、広島県など。佐賀県は市区町村と連携。
ICT整備計画を盛り込んだ計画の策定は教育の情報化を進める環境整備に必須のものだ。「ある」と回答したのは次。▼佐賀県「佐賀県総合計画2015」 ▼静岡県「静岡県教育振興基本計画(2018~2021年)」 ▼和歌山県「第3期和歌山県教育振興基本計画」 ▼高知県「第2期高知県教育基本振興計画」 ▼愛知県「第4期県立学校情報化推進計画」 ▼広島県「広島県教育委員会主要施策実施方針」 ほか1県。
富山県は平成30年度からに県立学校の情報セキュリティポリシーを見直す計画。
千葉県は、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン等を踏まえ、平成29年10月10日付で「千葉県県立学校情報セキュリティ対策基準」を策定した。現在実施手順等を検討中。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年6月4日号掲載