文部科学省は3月30日、「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」を公表した。小学校で2020年度(平成32年度)から始まる新学習指導要領におけるプログラミング教育の必修化を踏まえ、プログラミング教育の基本的な考え方や、各教科等の目標や内容を踏まえた指導等について解説した。教員がプログラミング教育に抱いている不安を解消し、安心して取り組めるようにすることがねらい。本手引書は今後も適時改訂を重ねる。
プログラミング教育導入の経緯、小学校プログラミング教育で育む力、プログラミング教育のねらいを実現するためのカリキュラム・マネジメントの重要性と取組例、企業・団体や地域等との連携の例などを掲載。
各教科等の目標・内容を踏まえた指導を分類(欄外参照)して、それぞれの事例を掲載。学校の教育課程内におけるプログラミング教育のうちICTを用いて行う指導9例を紹介しているほか、学校放送番組の活用や、ICT支援員や学校ボランティア、企業やNPO等との連携例も掲載。「未来の学びコンソーシアム」のWebサイトに掲載している実践事例なども参考とすることを求めている。
プログラミング教育では、児童が「PCを活用」して自らが考える動作の実現を目指して試行錯誤を繰り返す「体験」が重要であることから「プログラミング教育全体において児童がPCをほとんど用いないということは望ましくない」としている。「学校におけるICT環境が十分ではない場合、必要な整備を早急に進めるとともに、それまでの間も、ほとんどの小学校では既に整備されているPC教室等のICT環境を効率的に活用することも含めた適切なカリキュラム・マネジメント」を求めている。
小学校のプログラミング教育については「プログラミングやICTに関する高度な専門性が求められるものではない」として、「教員自ら実際に体験することによって、プログラミングはそれほど難しいものではなく、むしろ面白いものだということが実感でき、さらに、授業でこんな使い方ができそうだというアイディアも湧いてくる」と教員が自らプログラミングを体験することを推奨している。
教育委員会においては、各学校における取組を促し支援する体制を整えること、2020年度に向けた準備を、教育課程編成や学習指導等の側面とICT環境整備の側面との両面から計画的に進めることとしている。
予算措置については「各学校において、PCや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること」と規定しており、文部科学省では、この実施を見据えて「教育のICT化に向けた環 境整備5か年計画」(平成30~34年度)を策定済。この計画に基づくICT環境の整備充実を図るため、教育用PC、ネットワーク等の整備、ICT支援員の配置等に必要な経費について、平成30年度からの5年間、単年度1805億円(平成29年度は1678億円)の地方財政措置が講じられている。
小学校段階のプログラミング学習活動の分類(例) |
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教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年5月7日号掲載