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教育ICT

若年層に対するプログラミング教育の普及推進

2018年4月2日
新学習指導要領とICT活用

主体的・協同的な学びに

教育版マインクラフトの 活用事例を紹介

教育版マインクラフトの活用事例を紹介

Pepperがたまご焼き作りに挑戦

Pepperがたまご焼き作りに挑戦

特別支援教育で「ウィルス 感染」をプログラミング

特別支援教育で「ウィルス感染」をプログラミング

多様な障害に対応するプロ グラミング学習を展開

多様な障害に対応するプログラミング学習を展開

1面より

当日はプログラミング教育に関する22事例がポスターセッション形式で報告。ICTCONNECTの赤堀侃司会長は「プログラミングは、1回で正解を得ることは難しく、失敗を繰り返すことが当たり前。あきらめずに仮説・検証・修正を繰り返しながら取り組める、という性質がある。特別支援教育におけるプログラミング教育は、将来の雇用拡大の可能性も秘めたもの」と本取組の期待を語った。

総務省情報活用支援室の田村卓也室長は2年間の本事業について説明。好事例を紹介した。ツール活用の好事例として、ゲームの教育版「マインクラフト」と教科学習を融合した事例や、ロボット教材を県教育委員会が調達して各校に貸与・管理している事例、安価なマイコン(ラズベリーパイ、イチゴジャム、マイクロビットなど)を採用した事例などを紹介。特別支援教育においては、キーボードやモニターに触れることなくプログラミングできる教材の開発(プログラミングツール「カメレオン」)などを挙げた。

カリキュラムにおける好事例として、社会科見学との組み合わせ、ペアやグループによる学び合い、実証校間における合同発表会の実施、放課後学習の活用や放課後子供教室の活用を挙げ、好事例をまとめたポータルサイト(www.soumu.go.jp/programming/)を紹介。

総務省の平成30年度事業「地域におけるIoTの学び推進事業」では、放課後活動や部活動などを主体とした「地域IoTクラブ」及び「プログラミング・ユースチーム」の拡大を支援する考えで、平成31年度末までガイドラインを策定すると述べた。

事例発表
栄養士がプログラミング教育 難聴児も視覚障害児も成果

通常学級とも交流

富山県教育工学研究会は多様な障害に対応するプログラミング教育講座を自立活動の時間45分間を活用して全7回実施。知的障害、自閉症・情緒障害、肢体不自由、病弱、難聴児など軽13名を6班に分け、いもむしロボット「Code A Piller」、たこロボ「Ozobot」、PCによる「Viscuit」他の教材を活用してグループで活動。通常学級との交流学習も行った。情緒障害児も表業豊かに取り組み、自己効力感の高まりがみられた。学習後、児童は「もっとプログラミング学習を続けたい」と要望。富山市教育委員会では、次年度からプログラミング教育指定校の取組を始める考えだ。

高校生が放課後等にプログラミング講座

日本福祉大学ほかは、知的障害のある児童生徒のクリエイティビティを拡大する実証を展開。沖縄県立八重山特別支援学校において、高校生を中心としたメンバーがプログラミング教育を学校の教育課程や放課後、休日に講座を行い、コミュニティづくりを目指した。

教材はマイクロビットやビスケットを活用。特別支援学級の児童は、日ごろの学習では見られない集中力や意欲を見せ、自己肯定感を高める活動として機能したと報告。今後はドローンにも挑戦する計画で、作成した教材は英語やWebで公開する。

視覚障害者もメンターで支援

科学へジャンプ・イン関東実行委員会は筑波技術大学情報システム学科や筑波大学附属視覚特別支援学校と連携して、視覚障害があってもプログラミング教育の講座が実施できるメンターの育成や教材・カリキュラム開発などに取り組んだ。

開発したものは、蝕知ブロックを用いたロボットプログラミングツールやフィジカルコンピューティングを体験する教材、ブラウザのみで作曲できるツールなど。カリキュラムは「ロボット走行プログラミング」「音楽プログラミング」「コンピュータシステム作り」「プログラミングで図形を動かす」「Windowsソフトの作成」など。

1回目は、筑波大学附属視覚特別支援学校の中学生10名を対象に、蝕知ブロックを用いたロボット走行プログラミングと音楽プログラミングを3時間で実施。視覚障害者2名を含む4名の大学生がメンターとして参加。2回目は、筑波技術大学情報システム学会において中学生5名、高校生5名を対象に「コンピュータシステム作り」「プログラミングで図形を動かす」「Windowsソフト作り」を3時間半行った。メンターは、視覚障害者2名を含む社会人7名。同会では今後も開発教材を用いたワークショップを展開する考えだ。

難聴児親の会でメンター育成

香川県難聴児親の会では、プログラミング教育に関するメンター育成に取り組んだ。聞こえをフォローするため「UDトーク・コエトラ」を活用。これは「音声認識+音声合成」機能を使って視覚聴覚障害の際のコミュニケーションを支援するアプリで、個人使用の場合は無料で使用できる。メンター育成研修の際にはビデオカメラ「ZOOM」で接続して遠隔で講師と企業が打ち合わせ。デモ授業はビデオで共有した。

教育委員会で学校に教材を貸与

三重県教育委員会は、県内3校及び伊賀市教育研究センター、名張市教育センターを実証校として教員を対象にメンター育成研修を実施。3つの講義(5時間半×3)、3つの演習(5時間半×2+3時間×1)を行った。メンターが教えやすい教材を選定して実践時に各校に貸与。本モデル継続に向けて、プログラミングフェスティバルの開催や指導案のデータベース化、プログラミング教材の貸し出し、メンター育成研修などを行う考えだ。

栄養士が食育でプログラミング

青森県学校給食コンピュータ研究会や公社・福島県栄養士会と連携したタイムソフト合同会社はロボット(Pepper)やScratchを活用して調理手順をプログラミングする実践に取り組んだ。実証校は五戸町立切谷内小学校1~6年生34人(青森会場)と白河市立表郷小学校1~6年生15人(福島会場)。

青森会場ではPepperが「たまごやき作り」に挑戦。手順をPepperが正確にできるようにプログラミングをする。福島会場ではScratchを使い、にわとりが卵を産むところから卵焼きを完成するまでをプログラミングをした。

本取組は、学校給食コンピュータ研究会の合同研修でも紹介・実践。新たなメンターが育っている。同社では「栄養士と学ぶプログラミング講座 家庭科版 ごはんとみそ汁」のほか、算数、理科、音楽、英語等の教材開発を予定している。

教育版マインクラフトでプログラミング的思考

日本マイクロソフトほかは、高知県及び徳島県内の5小学校を対象に、メンター育成を行った。
教員研修は、講師派遣による計6時間で実施。研修内容は「プログラミング教育に関する知識や技能を教員が習得」することで、授業に取り組む意欲を喚起、「知識・技能を活用」した授業デザインを考えることができるようにすることだ。

具体的にはマインクラフトの学習活用例の紹介、基本操作環境の基礎、マインクラフトによるプログラミング、算数「位置の表し方」をテーマにした制御プログラミングの実施など。講習後、教員はプログラミング的思考の理解度が上昇し、「位置の表し方のプログラミング活用アイデア」の記入率が上昇するなど成果が見られた。同社では派遣型及び来場型教員研修及びオンライン研修コースも提供している(education.microsoft.com)。

パネル討論

文部科学省プログラミング教育推進マネージャーの中川哲氏はパネル討論でプログラミングに関する学習活動の6分類について解説した

2020年、新学習指導要領が小学校で完全実施となり、プログラミング教育も始まる。パネル討論では、実施まで限られた時間の中、学校や自治体は何から着手すべきかについて、事業成果を踏まえて討議。情報通信総合研究所・平井聡一郎氏がコーディネータを務めた。

平井氏は「『プログラミング体験』と共に、教科の狙いを『プログラミングで学ぶ』ことが新学習指導要領のポイント。それに向けて自治体の役割は新しい学びを進めることができる環境の整備であり、学校の役割は、リーダーを育成すること」と述べた。放課後活動でのプログラミング学習については「学校開放の管理的な問題と通信環境など機器整備の問題が障害になっている。学校がなじめない部分を耕したのが本事業」と指摘。

三重県教育委員会・研修推進課の荻田弘樹氏は「三重県ではすべての小学校で2020年から一斉に同レベルのプログラミング教育を始める方針で、準備を進めている」と話した。

西伊豆町立加茂小学校の平馬誠二校長は「プログラミング教育で、子供たちの眼が輝き授業の様子が変わり、プログラミング教育の可能性を強く感じた。学校現場では、道徳や小学校英語の教科化への対応に力が入り勝ちだが、プログラミング教育も同時並行で進めたい」と語った。

文部科学省プログラミング教育推進マネージャーの中川哲氏は「未来の学びコンソーシアム」プロジェクト推進本部・本部長代理としてプログラミング教育の推進に携わっている。

本コンソーシアムでは、プログラミングに関する学習活動を6分類。そのうち「教育課程内のプログラミング教育」と「教育課程外のプログラミング教育」に分けた。

「教育課程内のプログラミング教育」は、学習指導要領で例示されている単元で実施するもの(A)、例示されていないが各教科等の内容を指導する中で実施するもの(B)、各学校裁量により実施するもの(C)、クラブ活動など特定の児童を対象として実施するもの(D)の4つ。

「教育課程外のプログラミング教育」は、クラブ活動など特定の児童を対象にしたもの(D)と、教育課程外のプログラミング教育(E)だ。地域ボランティアや有償の塾なども含む。

今後は分類に応じた情報発信の準備を進めており、未来の学びコンソーシアム(https://miraino-manabi.jp/)で事例や教材を分類・検索できるようにする。4月以降に本格運用し、7月以降はさらに機能を拡充、教育委員会と賛同企業・団体による研修、教材、外部人材のマッチング機能を提供する考えだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年4月2日号掲載

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