つくば市立豊里学園沼崎小学校(古川善久校長・茨城県)は今年度から市のモデル校として、高学年の小学校外国語活動で「JUNIOR HORIZONモジュール105」(東京書籍)と文部科学省提供教材「Hi, friends!」を活用している。両教材をどのように組み合わせて45分間の授業を展開しているのか。小学校5年生全4クラスの外国語活動を担当している鈴木はる代教諭の授業を取材した。
授業の冒頭、鈴木教諭は「JUNIOR HORIZONモジュール105」(以下、「モジュール105」)から、提示画面に「B」を示した。「B」の下には3つのドア。そのうちどのドアから聞こえてくる発音が「B」なのか――児童は集中して耳を澄ましている。「B」「C」「D」「E」を順番に正しく聞きとってマス目の文字にマルをつけていくと、「キーワード」が分かるというコンテンツだ。
ゲーム感覚で「聞き取り」をした後は、各自のワークシートでアルファベットを書く練習をした。鈴木教諭はこの授業の冒頭のような小ワークを、ほぼ毎時間実施。「モジュール105」を利用して聞き取りや文字練習など積み重ねが必要な活動に活用している。
次に提示機器に示したものは「Hi, friends!」の「好きな教科を聞き合おう」だ。
まず、教科の英語名の復習からスタート。AETのリト先生が、出身国であるフィリピンの学校で学ぶ教科について英語で説明し、児童は聞きとれた教科のカードを机に並べた。
次は児童同士の活動で、児童は2人1組となって20枚の教科カードを横一列に並べ、左右から指差しをしながら教科名を英語で発音。2人が出合ったところでじゃんけんをし、負けたほうは再度端から発音を始める活動を行った。
リト先生は、水曜日は何の教科を学ぶのかについて英語で質問。児童は自分たちの時間割を確認しながら英語で答えた。
再び児童の活動では、何の教科が好きか英語で質問し合った。
鈴木教諭はなるべくたくさんの友達と質問し合うように指示。児童は同じ教科が好きな子の名前をメモしながら次々と質問し合う。活動後、鈴木教諭は同じ教科を好きであった友達が何人見つけられたのかを尋ね、「仲間」を見つけられなかった児童には、クラス全員が「何の教科が好きか」を英語で質問した。
続いて「モジュール105」から、動画「アメリカの小学生の1日」のビデオを提示。時々ビデオを止めながら、スクールバスで通っていること、リーディングやディスカッションなど授業の様子、昼食はカフェテリアのランチと自宅からの弁当のどちらも選択できること、放課後のロボットクラブの様子について、質問するなどやりとりしながら注意を促す。
「Hi, friends!」も活用。韓国の学校生活のスピーチから、児童は聞きとれた内容をメモし、発表した。
最後に振り返りカードに記入。
振り返りカードの項目「積極的に活動できた」「言えた」「聞けた」全項目に◎をつけている児童が多い。「言葉や文化のことで気づいたこと」については文章で記入。45分間のほとんどが英語でやりとりされており、半分以上が児童の活動であった。
「モジュール105」について鈴木教諭は「外国語活動は週1時間なので、学習内容を忘れやすい。そこで1時間の中で最初の5~10分程度、単語の導入、復習やライティングなど、継続と積み重ねが必要な活動の際に取り入れている。ビデオ教材も豊富で、国際理解に役にも立つ」と語った。
同校の外国語活動は小学校1年生から「つくばスタイル科」で学級担任中心に取り組んでいる。「モジュール105」は、モデル校として先行して活用。古川善久校長は「小中一貫教育校というメリットから、小中学校で英語の授業を見せ合うなどの交流を行っている。5年生4クラスは鈴木教諭が英語を担当。6年生は学級担任がAETとTTで協力し合って取り組んでいる。担任が授業をする面から、デジタル教材は小学校英語に欠かせない」と語る。今後は同校の研究テーマである「キャリア教育」と結びつけた英語教育について、カリキュラムマネジメントの観点から検討していくと話した。
■「モジュール105」文字指導や日本文化紹介、他教科関連、テーマ別学習、中学校英語など8つのカテゴリで、15分単位の教材を豊富に提供。全学年で関連教科にも活用できるように構成しており、英語の歌やチャンツも豊富に収録。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年3月5日号掲載