早稲田大学は平成29年12月、「データ科学総合研究教育センター」の活動を開始した。
理工系および人文社会科学系の専門領域の知見と、データサイエンスとの融合を図り、人材育成と、大学全体の研究力を底上げしていく。
同センターの活動領域は、大きく教育面と研究面に分かれる。
教育面では、専門性をデータで実証する能力を身に付けた、これからの社会において有用な人材を育成していく。
一方、研究面では、人文社会科学分野における文理融合大型グループ研究により、データ駆動型研究を進化させていく。
「データサイエンスを活用するには、その応用先である専門分野の知識が必須。当センターがフォーカスしているのは、専門性とデータサイエンスとの融合です」(データ科学総合研究教育センター所長 松嶋敏泰教授)
同センターは、研究・教育を支援するため、次の3つを柱として、サービスを提供していく。
データ科学総合研究教育センターの特徴は、データサイエンスを活用したいと考える人の専門的知識、データサイエンスの理論、コンピュータを使って解析できるスキルの3者を重要視していることだ。
「専門がなければ、データから何を見つけたいかが決められません。また、理論がなければ、どのような分析をすればいいか分からず、分析結果も解釈できません。さらには、スキルがなければ、実際にデータを分析できません」(松嶋教授)
現在、学問の分野では、新しい研究パラダイムである「データ駆動型研究」が急速に進展している。また国としても、総務省は公的統計ミクロデータの研究活用を推進し、文部科学省はAIP(Advanced Integrated Intelligence Platform)プロジェクトを策定し、AI、ビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティを統合した施策を進めている。さらに、ここ1、2年、データサイエンス教育・研究を強化する大学も、全国的に増えてきた。
こうした動きの中、早稲田大学のデータ科学総合研究教育センターは、私立大学としての強み(国立大学とは異なり、建学の精神にもとづき、独自に定める方向性に向かっていけること)や、総合大学としての強み(様々な学部を有し、専門性も多岐にわたること)を最大限に活かしながら、人材育成と研究力向上に力を入れていく考えだ。 (蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年3月5日号掲載