OECDは2月16日、「OECD LearningFramework2030」を発表した。2月27日、上松恵理子氏(武蔵野学院大学)と山田肇氏(ICPF理事長)は、都内で開催した「ICPF情報通信政策フォーラム」でその内容を紹介した。
OECD LearningFramework2030(以下、OECD教育2030)は、国連2030グローバル4・7 二乗 目標(地球レベルの視点で持続可能な開発を可能にする)の達成を目指すものだ。
2010年、ATC21Sにより21世紀型スキルが定義された。その後、一層グローバル化は進み、AIやIoTなど科学技術の進展による社会変革、資源枯渇の問題、サイバーセキュリティやプライバシー保護の問題、生活水準の不平等、日本においては顕著な人口減少など、多くの困難で新たな課題に対応するために必要な能力や教育手法を整理。OECD教育2030として「生き延びる力」の育成が必要であるとし、学び手や教え手のあるべき姿を示した。「生き延びる力」は「反省、予測、行動」というプロセスの中で「学習できる力」であるとしている。
OECD教育2030では「生き延びる力」を次の3つに分類している。
「生き延びる力」とは、世の中を変える力を持ち、周囲にプラスの影響を与え、他の人の意図や行動や気持ちを理解し短期的または長期的な影響を予測できる力である。
これを育むためには、知識、技能、態度を基盤としながら、メタ認知能力や共感力、自己効力感、情報技術活用能力ほかの様々なコンピテンシーを総動員して課題解決に取り組むこと。
学習者を取り巻く教員、保護者、コミュニティ、仲間もまた「学び続ける存在」であることを求めている。
なお「OECD教育2030」をカリキュラムに盛り込むため、OECD関係者は設計原則も作成している。
〇コンセプト
〇プロセスデザイン
OECDでは以上のような学習を行うためのベストプラクティスやアイデアを収集している。
以上の報告について、多くの教育関係者は「初めて聞いた気がしない」と感じるかもしれない。
これらの理念は、新学習指導要領にその多くが盛り込まれている。21ATCSが「21世紀型スキル」を提唱して数年後、文部科学省では「21世紀型学力」の育成を目指し、新学習指導要領に向けて多方面に検討してきた。「21世紀型学力」は「OECD教育2030」と同様の概念を既に盛り込みながら新学習指導要領としてまとめられている。
公開資料=www.oecd.org/education/2030
■21世紀型スキル=次の4領域10スキル
■キー・コンピテンシー
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年3月5日号掲載