大阪総合保育大学は保育系単科大学として平成18年に開校。理論と実践の融合を重視しており、今年度からクラウド型ポートフォリオを導入した。 |
大阪総合保育大学は、平成18年に日本初の保育系単科大学として開学した。開学当初から、理論と実践の融合を図るため、「子どもと1700時間」プログラムを学びの柱として実施している。平成28年度からは同プログラムにおいて、クラウド型ポートフォリオシステムを導入し、学習の振り返りや情報共有に効果を挙げている。大阪総合保育大学児童保育学部藤田朋己准教授に同プログラムや、クラウド型ポートフォリオシステムの活用について話を聞いた。
自分と向き合うため効果的なツール
同大学の「子どもと1700時間」プログラムは、「免許・資格取得のための実習(約740時間)」と、「1週間に1日(8時間)1年間継続して現場(保育所・幼稚園・こども園・小学校)に行くインターンシップ実習(約960時間)」からなっている。
学生は「子どもと1700時間」プログラムを通して、子供たちとの直接的な関わりの中で、大学で学んだ専門的な知識や技術を発揮するとともに、これから身に付けるべき知識や技術が認識できる。
また、「先生」という職業を選択するにあたって、自身の適性や、目指す先生像はどのようなものかなどについて考えることもできる。
「現場における経験を自身の成長に結びつけるためには、絶えず自身と向き合い、振り返りを行うことが大切です。しかも、科目単体でそれを行うのではなく、現場実習に関わる複数の科目を横断的につなげていく必要性を感じていました」と藤田氏は話す。
このようなことを実現させるために導入を開始したのが、クラウド型ポートフォリオシステム「manaba(マナバ)」だ。manabaを採択した理由は、クラウド型であることのほか、コストパフォーマンスが良いことや、操作がシンプルで利用しやすいことなどがあった。
日々の活動をポートフォリオに蓄積
manabaは、学生個々の1年次から4年次にかけての4年間に対して、主に次のような活用を行っている。
●「進路や取得希望資格の管理」教員はmanabaで学生の希望状況をいつでも閲覧可能。学生は自身の進路希望の変化を振り返ることができる。
●「インターンシップ希望調査」manabaを使うことで事務処理を効率化。また、学生は進路希望の振り返りに利用。
●「インターンシップ状況調査」教員は、学生の状況把握に活用。学生は過去の振り返りに利用。調査結果をもとに、「子どもと1700時間」プログラムの質的向上を目的とした研究も行う。
●「インターンシップ融合科目」同大学では、現場実習と高い関連性がある科目を「インターンシップ融合科目」と呼んでいる。この科目は、教員の提示した課題をもとにしたアクティブラーニングなどを実施。manabaに入力したデータは、学生自身のポートフォリオとして蓄積される。
ほかの学生の課題を見ることで刺激も
学生からは「ほかの人の提出した課題を閲覧することができ、自分と異なる考えを知ることができるのはとても刺激的」、一方で教員からは「学生が入力したものをデータとして吸い上げることができるので、データの活用が可能となり、データ集計などでの時間の効率化が図れた。研究や資料作りも円滑に行えるようになった」などの声が寄せられており、好評だ。
今後は、学生の4年間の軌跡をポートフォリオに蓄積し、より効果的な学習や指導に役立てていく考えだ。
【2016年9月5日】