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教育ICT

【第16回】ICTキャンパス 千歳科学技術大学「eラーニングを予習に活用 反転授業で学生の成績向上」

2015年4月6日
連載
プログラミングで反転授業

プログラミングで反転授業を取り入れて成果を上げている。実習時間が以前よりも確保でき、発展課題に取り組むことも可能となった

北海道千歳市にある千歳科学技術大学は、eラーニングを予習に取り入れた反転授業により、学生の成績向上に効果を上げている。
反転授業を行っている授業は、グローバルシステムデザイン学科2年生の必修科目「プログラミングスキル(春学期)」と「オブジェクト指向プログラミング(秋学期)」。プログラミングスキルはC言語を、オブジェクト指向プログラミングはJava言語を取り扱う授業で、履修学生数はそれぞれ約80人である。

同大学ではこれまでにも、学生の能力向上や効果的な授業を実現させるために、科目の増設、TA(Teaching Assistant)の増員、学生が自宅で学習できるようにeラーニングを導入するなどさまざまな施策を行ってきた。しかし、思ったような効果はなかなか上がらなかった。

「これでは学生はいつまでたっても自力でプログラムを書くことができないばかりか、授業における実習時間が有効活用できていないことにもなります。そこで、授業の多くの時間を実習に利用できるようにするため、平成25年度から、それまでブレンド型授業や宿題に用いてきたeラーニングを予習に活用し反転授業を行うことにしました」(千歳科学技術大学グローバルシステムデザイン学科林助教)

学生の予習状況はシステムに記録

現在利用しているeラーニング教材は、すべて大学で作成したものだ。教科書には解説文や図だけではなく、アニメーションを活用し、一層理解しやすくした。平成26年度は解説付きの動画教材も利用した。

eラーニングの演習問題は、穴埋めまたは選択で解答する方式にすることで、採点業務を効率化させ、複数回の実施を可能にした。

学生の教科書の閲覧状況と演習問題への解答状況は、同大学独自のLMS(Learning Management System)に学習履歴として記録される。

教員は学生の学習履歴を確認することで、どのようなところでつまずいているのかを把握でき、授業中、学生にあわせた適切な指導を行うことができるようになった。

プログラミングへの自信につながる

授業にあたっては、まず学生に対して、eラーニングによる予習を、授業用ポータルサイトの活用とリマインダーメールにより促す。eラーニングで予習をしている期間、学生は大学において対面でTAに質問することもできる。

授業では冒頭に確認テストを行う。確認テストを実施している間、教員は学生の予習状況をLMSで確認する。その後、教員は予習で用いたeラーニング教材やスライドを使い、学生に理解しにくい概念的な内容やつまずきやすい内容を改めて解説していく。

こうした予習を前提とした授業を展開することで、反転授業導入以前に比べ、中間試験と期末試験における学生の成績は、中間層および上位層において向上した。

学生に反転授業による授業について調査したところ、64%が「良い」と回答。また、プログラミングに対する自信については、9%が「かなりプログラムを作れるようになった」、73%が「プログラムを作れるようになった」と回答している。

林助教は「今後は、授業冒頭の確認テストを予習段階でも行えるようにして授業の一層の充実を図っていきたい」と話す。

また、現在LMSに蓄積している学習履歴に加え、学生のプログラミング技能習得につながるデータも蓄積・分析を行い、反転授業を継続していく意向だ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2015年4月6日号掲載

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