上、神奈川歯科大学大学院ICT講義室の様子。 下、授業配信システムの利用イメージ。 学生の中には、仕事を持つ人もいる。 PCやタブレット端末で講義を見ることができ、好評だ。 |
神奈川歯科大学は、1910年(明治43年)に東京・神田で創立。100年以上の伝統を持つ歯科専門大学だ。現在は神奈川県横須賀市にキャンパスを持ち、歯学部、大学院歯学研究科、短期大学部を併設。横須賀市と横浜市には付属病院がある。
同大学の大学院では、ICTを活用した授業配信の新システムを導入し、2013年5月から本格稼働させている。
歯学研究者・教育者教育コース、高度先進臨床歯科医療養成コース、高度診療協力専門職養成コースを持つ同大学院の学生は、授業だけでなく研究、臨床研修などさまざまな形で学習しており、横須賀キャンパスの教室だけでなく、横浜にある付属医療施設などで講義を見る機会も多い。
そのため、空き時間を有効に使って復習・再履修ができる授業配信はニーズが高かった。こうしたことから、すでに2011年には学生への教育支援の一環として授業映像の配信をスタートしていた。
今回、新たに導入したのはパナソニックインフォメーションシステムズの「ArgosView 授業配信システム」。新たな授業配信システムの導入にあたっては、次のふたつの課題を解決することを目指した。
ひとつは、講義を行う教員に負担をかけないで授業配信を行うこと。もうひとつは、従来の“音声付き動画”ではなく、よりライブ感のあるリアルな講義風景を配信していくことだ。
授業配信を行うには、まず収録したい講義を録画システムのカレンダーに予約するとともに、授業で使用する資料もアップロードする。予約と資料アップロードいずれも学内のどのPCからでも可能だ。
新システムは、授業の収録・配信にかかる負担が軽減、スマートデバイスへの配信やライブ配信といった幅広い配信方法が可能になった。教室に必要な機材は天井に設置したネットワークカメラとマイクのみの構成のため比較的安価にシステム構築ができたという。
また、学内のPCからスケジュールを登録するだけで自動的に収録・配信が行えるため、導入前に比べ教員・事務職員の工数は約4分の1に削減された。現在、約80人の大学院の学生が利用している。
講義の録画は、カレンダーに予約したスケジュールに従って自動で行われる。自動で録画がスタートするので、教員が授業を始めるときに、いちいち録画ボタンを押す手間がない。撮り忘れという事態も避けられる。
教室の天井に設置されたネットワークカメラが教員の講義の模様を撮影。このとき音声も同時に収録される。
録画された授業コンテンツはサーバーにアップロードされ、学生はPCおよびiPadなどのモバイルデバイスを使って、自分の都合のいい時間と場所でダウンロードし閲覧できる。また今回のシステムでは講義のライブ配信も実現した。
学生の中には社会人もいる。普段は病院などで働きながら、大学院に通いキャンパスでは実験や論文検索などキャンパスでしかできないことを行っている。録画された授業コンテンツは学生の都合にあわせダウンロードできるため、多忙な学生には好評だ。
動画配信システムを活用するようになって、移動などのすき間時間にタブレット端末で学習するなど、学生の時間マネジメント能力も向上しているようだ。
教育家庭新聞 新春特別号 2014年1月1日号掲載