2月20日、文部科学省は「生成AIパイロット校 成果報告会」を対面とオンラインのハイブリッドで開催。会場では生成AIを活用した学校・教員ならではの興味深い教育活動についてパイロット校52校及び協力校がポスター発表で成果を報告し合った。
本事業は昨年7月に公開された「初等中等教育段階における生成AIの暫定的なガイドライン」に基づき、パイロット的な取組の成果を共有するもの。会場には多数の教育関係者が参集した。
全体討議ではパイロット校から、つくば市立学園の森義務教育学校、茨城県立竜ケ崎第一高等学校、千代田区立九段中等教育学校、春日井市立藤山台中学校が登壇した。
ポスター発表は、生成AIパイロット校37自治体52校(小学校4校、中学校26校、義務教育学校4校、高校17校、中等教育学校1校)が成果を報告。校内研修や1時間の取組から数時間の取組、情報活用能力を目指したもの、各教科で活用したものなど様々な報告があった。
加賀市立山中中学校では6年間の単元計画を作成して実証。3時間は専門家が講演・支援するが「3時間目から生徒自身でファクトチェックができるようになる」と報告。生徒が「AIはもっと頭がいい人が使うイメージがあったが自分でも正しく使うことができることがわかった、テストの計画表や自主練の方法などたくさん活用したい」という中学生の声が報告された。本実践報告の詳細は同校Webに公開予定。
鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校では英語、数学、生物、美術で活用。美術では苦手な部分のサポートに取り組んだ。
京都市立西京高等学校では情報科で「10年後を想定した情報リテラシー育成」を目指し4種類のAI及び技術をグループ別で体験して説明し合う活動を展開。校長先生がモデルとなったフェイク画像を生成するなどユニークな体験に生徒は「初めての体験だらけで楽しい」と報告していた。
「初等中等教育段階における生成AIの暫定的なガイドライン」ではファクトチェックの重要性が指摘されているが、ファクトチェックは生成AIに限ったものではない。
メディアリテラシーについて学んだ子供とそうでない子供では、紙であってもSNSであっても媒体に関係なく「虚偽情報」への反応が異なる。
ファクトチェックは低学年からでも、毎日でも可能な活動であり、それを積み重ねることこそが重要だ。例えば教科書や資料集であっても「引用」に敏感になるなど身の回りのメディアの情報の真偽を確かめ正しく理解するような学習が今後、一層重要になる。
■生成AIパイロット校とは
リーディングDXスクール事業の追加公募として、公立中学校・高等学校等を対象に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(2023年7月4日)に示されたパイロット的な取組を進める生成AIパイロット校を公募。なお次年度もリーディングDXスクール事業で3月に公募を開始。生成AIパイロット校として切り分けずその一部として取り組む。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年3月4日号掲載