11月2日に札幌市内で開催された本セミナーには主に北海道内から約130名の教育関係者が参集した。本セミナー講演内容を抄録する。
札幌市教育委員会総務課・元起克敏情報化推進担当係長 |
札幌市立の学校は現在324校。このうち高等学校・中等教育学校・特別支援学校は各校で特色に合った機器選定を行うこととし、一律の整備は小・中学校を対象に行われる。6年リースで整備しており、毎年50~60校程度を更新している。
札幌市では、平成29年度から情報端末の整備を開始した。夏に中学校27校に導入され、この冬には小学校35校に導入される。
教員が使う「授業用端末」、児童生徒が使う「PC室用情報端末」(Windows端末)、個別の支援を要する児童生徒が使う「特別支援学級用情報端末」(iPad)の3種類を整備する。
ユーザと使い方を想定することで機器構成は変わる。それに合わせた整備を進めることが活用促進の第一歩だと考えた。
「授業用端末」は着脱式のキーボードとセットで導入。単体でも行うことができる。
PC教室には、情報端末と併せてクレードル、外付けモニタ、マウス、フルピッチのキーボードを整備。PC教室では有線LAN接続とし、安定した通信の確保。ネットワーク保守業者による遠隔アップデート等を実施する。
特別支援学級でiPadを選定した理由は、直感的に操作しやすく操作に抵抗が少ないこと、個別の支援に適したアプリが豊富にあることだ。
児童生徒がメインユーザであるPC室用の端末には環境復元をかけ、フィルタリングも高いレベルを適用。授業用端末は教員が手持ちで運用することが主となるため、YouTubeの閲覧を許可するなど、教員の管理が十分に行き届く範囲ではできるだけ制約を少なくしている。
情報端末は、PCに比べて紛失などのリスクが高くなる。毎日の所在確認とともに、施錠をして保管している。
新たな機器の導入にあたり、今年度は2つの研修を実施した。まず夏季休業中に札幌市教育センターで希望者を対象に、基本操作や協働的な学習に向けた授業支援ソフトの活用方法について、実機を使って行った。今年度導入校では、インストラクターが各校を巡回して主に基本的な操作について研修。導入校のほとんどの教員が参加した。
コンテンツ整備も進めている。今年度は小学校算数の指導者用デジタル教科書を全校・全学年に整備した。算数を選定した理由は、空間認識など子供がつまずきやすい領域でICT機器の有効活用が進むと見込まれること、限られた予算内で小学校の全教員が活用し、ICT活用指導力を高められることなど。このほか、授業に役立つ情報をまとめたポータルサイト「市立学校ネットワーク」も設置。市教委が整備したデジタルコンテンツや、教育課程編成の手引きの中で紹介されたwebサイトにアクセスできる。
昨年度からは情報端末の活用事例の掲載も開始した。ワンポイント活用のアイデア集で、現在は実証研究校での事例が中心だが、今後は情報端末導入校の実践事例を随時掲載していきたい。
【講師】札幌市教育委員会総務課・元起克敏情報化推進担当係長
【第44回教育委員会対象セミナー・札幌:2017年11月2日】