情報教育対応教員研修全国セミナー「新学習指導要領に向けた教育の情報化~先進自治体のICT利活用とセキュリティ対策」が2月24日、東京都内で開催された。主催は一社・日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)。
札幌市立発寒西小 新保元康校長 |
「ICT」は「I=いつもC=ちょっとT=たいへん」と語りながら取り組んできたと話す新保元康校長だが、新保校長がその学校に着任すると教員のICT活用が活性化する。特にセキュリティ確保について、職員室を「セキュリティゾーン」に分けて教員の情報共有を円滑にした手法はどこの学校でもすぐに活用できそうなアイデアだ。
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学校現場は変わってきている。20年前と比べて教員の仕事は多様で膨大になっており、保護者の期待も大きくなっている。長時間勤務と多忙感の解消、そして質の高い教育を実現するためには「教育の情報化」を進めるしかない。
しかし、機材やシステムを導入しただけでは現場の課題は解決しない。
札幌市の例で言うと、中には残念な事例もある。ここをなんとか解決する必要がある。どこをどう改善していけばよいのか。これまで9年間の結論は「結局は管理職の情報マネジメント力」であるということだ。
職員室にセキュリティゾーンを確保して重要情報を共有しやすくした |
札幌市全体で導入された校務用PCは約1万台。同時に校務支援システムも整備されたが、学校によって活用率が異なる。これでは、「異動先でも同じ仕組みで成績管理ができる」というメリットを活かすことができない。
そこで同校では、校長室を「応接室」から「会議室」に変更。校務支援システムの活用によって教員を困らせるのではなく、合理化を目指すのであるという方針を校長室のレイアウト変更で示した。
職員室も改造。これは大きな効果があった。「児童・保護者立ち入りOK」「個人情報管理スペースは立ち入りNG」の境界線を決めることで、情報漏洩リスクや教員の負担感が大幅に減った。
立ち入り禁止ラインを決めておけば、重要情報も共有黒板に記載できる。個人情報についても、「ロッカーに鍵」をかけておかなくても大丈夫。事件事故発生時にはすぐに取り出し、対応できる。
校務支援システムによって、日常的な連絡事項は掲示板を活用。校務連絡会は週15分間を設置。朝9時半には全校児童の健康状態が把握でき、インフルエンザや先般起きた感染症事件の際にも迅速に対応でき、クレームはゼロであった。
校務支援システム活用の際に通知表をファイル化したところ、表彰状や作品などを追加で入れることができ、1年間の記録をまとめやすくなった。システムの変更は、運用変更の大きなチャンスと考えて取り組んでほしいと述べた。