第36回教育委員会対象セミナーを12月7日、東京・KFCホールで開催、12道府県から73名が参加した。次回は1月25日に福岡・天神クリスタルビルで開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
神奈川大学附属 中高等学校 小林道夫教諭 |
小林教諭は、中学「技術科」と高校「情報の科学」でプログラミングを指導している。「平成32年度からの小学校のプログラミング教育必修化に向けて準備が進められている。これは世界の情報教育の主軸が情報活用やリテラシーからプログラミングへと移行していることが背景にある」と語る。
日本でも小学校からの段階的なプログラミング教育が求められている。小学校段階では、子供向けプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」などを使ったアルゴリズム学習やセンサーロボットを使ったプログラミングなどが中心になりそうだ。
中学では、与えられた課題から推論、プログラムを作成して検証していくコーディング(ソフトウェアの設計)が求められる。高校では、身近な課題から自分で推論を立てて検証する問題解決のためのプログラミングを学ぶ。
以上が理想の流れだが、現状は、中学も高校も同じような内容のプログラミング教育が行われている。今後は意図的段階的にレベルを上げていくことが必要だと指摘する。
小林教諭は、中高一貫校の中3と高2にあたる学年でプログラミング教育を実践。中学ではプログラムの機能を学んだ上で、目的に応じたプログラムの手順を考え、ロボットの制御を行う。
「プログラミング教育でロボットを使うのは、生徒が興味を持つから。頑張ってプログラムしても、動かすと瞬時に終わってしまうという難点をロボットならば解決してくれる。自分が作ったものが動くことに感動し、組み立てたり、作り直したりすることで大きな達成感が得られる」
ロボットの利点として、センサーを挙げた。「センサーは、駅の改札や自動車など身の周りのあらゆる所で使われており、情報化社会において重要な役割を果たすセンサーについて学ぶ絶好の機会になる」
中学のプログラミング教育は5時間なので、以下の単元計画で授業を進める。▼1時間目=ロボットが動く仕組み▼2時間目=プログラムの作成、ロボットの試走 ▼3時間目=色を識別するプログラムを作成してライントレースを試走 ▼4時間目=障害物の前で停止するプログラムを作成して走行コースの構想とプログラムを作成 ▼5時間目=ロボットによる競技会
どのような観点から評価するかも重要な要素だ。「ロボット技術やプログラムが情報社会を支えていることを理解し、自分で考えながらプログラムを作成しているか」、「センサーを使って計測し、ロボットを制御するプログラムを考えることができるか」などを評価の観点とする。
高校ではプログラミングを通じて問題解決を図るため、宇宙エレベータをテーマとした。2050年の完成が目指される宇宙エレベータが実現可能か否か。宇宙ステーションまで安全に部品を運ぶには、どのような仕組が必要か。その集大成として、毎年開催されている「宇宙エレベーターロボット競技会」出場を目指している。
【講師】神奈川大学附属中高等学校・小林道夫教諭
【第36回教育委員会対象セミナー・東京:2016年12月7日】