(上)研究会でlittleBitsを用いて〝かわいいモノ〟を制作 (下)「情報科学概論」でlittleBitsを活用。論理回路を学ぶ |
京都ノートルダム女子大学(京都市)は、カトリック精神に基づき、知性と品性を併せ持つ女性の育成を目指して、昭和36年に開学した。1833年にドイツ南部のバイエルンに創立され、現在は世界34か国に教育機関を持つ「ノートルダム教育修道女会」を母体とする女子大学だ。
同大学は平成27年度から、人間文化学部「情報科学概論A」の授業で「littleBits」を導入している。これはいくつもの電子モジュールを磁石で付けて、電子回路を完成させることができるというもの。ハンダ付けや配線は不要だ。同学で非常勤講師を務める中村亮太氏は、授業でlittleBitsを使うことになった経緯について、「LilyPad研究会という、京都ノートルダム女子大学の学生が中心となったグループがあり、マイコンと『かわいい』を組み合わせた作品制作を行っています。この研究会でlittleBitsを用いた電子回路の勉強会を行ったところ、学生たちは手を動かしながら、情報科学を体験的に楽しそうに学んでいたため、授業でも採用しました」と話す。
littleBitsを活用している「情報科学概論A」の授業内容は、コンピュータはどう動いているのか、コンピュータのデータは内部でどのように表現されているのかを学び、コンピュータとどう向き合っていったらいいかを考えていこうというものだ。平成27年度と28年度の授業では、15回(1回90分)のうち、論理回路を扱う2回の授業でlittleBitsを用いた。今年度は、「littleBitsを使った今までにない楽しいものを制作しよう」という授業を1回追加した。
学生からは「回路は分からないことだらけだったが、思いついたことをそのまま実践したら意外とうまくいった」「回路をつなげる時に、どうすればつながるのかなどを考えるのが楽しかった」「聞くだけではなく、考えながら実際に作るという実践型なのがいい」などと好評だ。中村氏は「ブレッドボードなどで回路を組むことでも体験的に学べますが、配線などが難しく、そこで時間がかかってしまうと、本来学んでほしいことに割く時間が少なくなってしまいます。littleBitsは接点に磁石が埋め込まれていて、正しい方向にしか付かないようになっているため、配線にかける時間を短縮でき、学んでほしいことを重点的に教えることができます」と話す。
本授業が好評だったことから、今年度から新設された全学生対象の共通教育科目「情報科学入門」でも活用。授業を担当するのは「小学生の継続的な学習が可能な手芸や工作を活用したプログラミング教材の開発と普及」(科学研究費助成事業基盤研究C)の研究を行っている同大学の吉田智子教授だ。littleBitsを用いた取組は、この研究の一環でもある。最終目標は、プログラミングや電子工作などを通じて情報機器がどのように動いているかを体験し、情報機器の仕組みを教養として学ぶ「教養プログラミング学習」の普及だ。今後もその目標実現のためlittleBitsを活用しながら、教育実践を重ねていく考えだ。(蓬田修一)