大阪工業大学は今年4月、「ロボティクス&デザイン工学部」を新設するとともに、同学部が設置されている「梅田キャンパス」をオープンした。
ロボティクス&デザイン工学部はロボット工学科、システムデザイン工学科、空間デザイン学科の3学科で構成。ロボットをAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)だけでなく、空間やプロダクトなどのデザインと一体的に扱える高度な人材を育成していく。
同学部が新設された背景には、ものづくりに求められるスキルや知識、考え方が変化していることがある。
従来のものづくりで重要なのは技術だった。しかし、近年のIoTやAIなどがもたらした産業構造の変化によって、技術だけでなく、利活用におけるデザインも求められるようになってきた。
さらに、製品やシステムの開発においては、産官学の共同研究やオープンイノベーションといった学外とのコラボレーションも一層重要になってきている。
こうしたことから、大阪工業大学ではロボティクス&デザイン工学部を新設させ、「デザイン思考」の育成にさらに注力することとした。デザイン思考とは、同学部によれば、デザイナーの手法を参考に①観察と分析②アイデア創出③プロトタイピング(試作)と検証を繰り返して、問題の解決策を練り上げ、それを効果的にアピールすることで、人々の理解や共感を導き出すことだ。
2層吹き抜け大空間のラーニングコモンズ |
産学連携の共同研究を行うロボティクス&デザインセンター |
全学年・全学科の学生が着席できるデザインスタジオ |
梅田キャンパスは、大阪でももっとも活気のあるエリアのひとつである梅田・茶屋町に位置し、JR大阪駅から徒歩5分、阪急梅田駅から徒歩3分(直結)とアクセス抜群のロケーションに立地する。地上21階、地下2階の都市型高層タワーキャンパスだ。
梅田キャンパスで特筆すべきは、「デザイン思考」を育成するための教育環境が整備されていることだ。6階の「ラーニングコモンズ」は、教員の音声に反応して映像が切り替わる、超大型380インチスクリーンを備える。個別、グループ、大人数など多彩な学習シーンに応じて、柔軟に空間構成が変化できる高いフレキシブル性が特徴だ。
8・9階には「ロボティクス&デザインセンター」と「イノベーションラボ」を設置。産官学連携のプラットフォームとして共同研究を行っていく。
開発や発表展示などにも対応できるため、学内外の研究者との創発やコラボレーションが行いやすくなっている。
17階には、全学年・全学科の学生が着席できる大空間(デザインスタジオ)がある。学年や学科の垣根を超えて、ひとつの空間に集うことで、多彩な刺激を受け、デザイン思考を深めていくことが期待されている。
なお、梅田キャンパスにおける空間デザインプランやプロジェクトマネジメント、AVシステムの導入などは内田洋行が行った
デザイン思考を活用し、これまでとは少し違うプロセスで課題解決に取り組むことで、従来では考えつかなかった新しいイノベーションが見つかる可能性がある。
新キャンパスでの教育で、デザイン思考を備えた人材が数多く輩出されることを期待したい。
(蓬田修一)