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教育ICT

「開かれた課程」重視学習指導要領改訂で 北海道教育庁義務教育課・森田靖史主査

2017年12月4日
第44回教育委員会対象セミナー・札幌

11月2日に札幌市内で開催された本セミナーには主に北海道内から約130名の教育関係者が参集した。本セミナー講演内容を抄録する。

「主体的・対話的で深い学び」の推進目指す

北海道教育庁義務教育課・森田靖史主査
北海道教育庁義務教育課・森田靖史主査

今回の学習指導要領改訂のポイントの1つ目は、教育基本法、学校教育法などを踏まえ、子供たちが未来社会を切り拓いていくための資質・能力を一層確実に育成するとともに、子供たちに求められる資質・能力が何かを社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」を重視すること。

2つ目は、知識及び技能の習得と、思考力、判断力、表現力等の育成とのバランスを重視すること。学習指導要領の枠組みや教育の質を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成することが求められている。

3つ目は、先行する特別教科化など道徳教育の充実や体験活動の重視、体育・健康に関する指導の充実により、豊かな心や健やかな体を育成すること。

今回の改訂では、「生きる力」をより具体化し、教育課程全体を通して育成を目指す資質・能力が3つの柱で整理されている。経験年数の短い教員でも各教科等の指導を通して育成を目指す資質・能力を確実にとらえられるようにすること、各教科との関連を図った教育課程を実施できるようにすること、学校教育を通してどのような力を育むのかについて、社会と共有することを目指すもの。

「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善の推進と、子供に必要な資質・能力を確実に育むための学びの質に着目し、取組を活性化していく。これは1単位時間の授業の中で全てが実現されるものではなく、単元や題材のまとまりの中で実現していくものになる。子供たちの実際の状況を踏まえながら、多様な学習活動を組み合わせて授業を組み立てていくことが重要である。

カリキュラムマネジメントの推進も大切。教科等の目標や内容を見渡し、特に学習の基盤となる資質・能力や現代的な諸課題に対応できる資質・能力の育成のためには、教科等横断的な学習を充実する必要がある。各学校では、児童生徒や学校、地域の実態を的確に把握し、教育内容や時間の配分、必要な人的・物的体制の確保、教育課程の実施状況に基づく改善などを通し、教育活動の質を向上させ、学習効果の最大化を図るマネジメントに努める必要がある。

具体的には、各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配置すること、教育内容の質の向上に向け、調査や各種データ等に基づき教育課程を編成し、一連のPDCAサイクルを確立すること、教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を効果的に組み合わせることなど。教員1人ひとりが日々の授業等で教育課程全体の中での位置付けを意識しながら、学校が一体となって取り組んでいく必要がある。

教育内容の主な改善事項としては、言語能力の確実な育成、理数教育の充実、伝統や文化に関する教育の充実、体験活動の充実など。情報活用能力については、その育成を図るため、プログラミング的思考を身に付けさせるための学習活動を充実することなどが示されている。

移行期間においては、円滑な移行ができるよう内容を一部加える等の特例を設けること、積極的に新学習指導要領による取組ができるようにすることが示されている。

新学習指導要領の理念が実現されるためには、各学校や地域で、学習指導要領の理念や内容を共有し、教育課程の編成、実施に一体となって取り組んでいくことが重要である。

【講師】北海道教育庁義務教育課・森田靖史主査

 

【第44回教育委員会対象セミナー・札幌:2017年11月2日

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