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教育ICT

情報科の映像制作授業で養う生徒のメディア・リテラシー 聖母被昇天学院中学高等学校 岡本弘之教諭

2017年4月10日
第2回私立公立高等学校IT活用セミナー・大阪

2月25日に第2回私立公立高等学校IT活用セミナーを、大阪・CIVI研修センター新大阪東で開催した。大阪での高等学校ICT活用セミナーの開催は初であったが、当日は72名の参加者があった。次回私立公立高等学校IT活用セミナーは7月28日に東京・KFCホールで開催する。

メディアをそのまま信じることの危険に気づく

聖母被昇天学院中学高等学校・岡本弘之教諭
聖母被昇天学院
中学高等学校
岡本弘之教諭

児童生徒のネット利用率が高まったことで、Webページ閲覧などの「情報の受け手側」になるだけでなく、動画やコメントを投稿するといった「情報の送り手」になるケースが増えている。

本年4月よりアサンプション国際中学校高等学校(大阪府)として新たなスタートを切った聖母被昇天学院中学高等学校。同校の岡本弘之教諭は、教科「情報」の中で、情報の受け手と送り手の双方に必要な力を養うため、映像制作を通した生徒のメディア・リテラシー向上に取り組んだ。

2年生では、生徒4人1組のグループに分かれ、企画1時間、撮影・制作2時間、編集1時間の合計5時間かけて、3分程度の映像作品を制作。「知らない人に学校の良さを伝える」がコンセプトで、クラブ、施設、行事について、インタビューやクイズ形式で紹介するなど、取り上げる題材と紹介方法は自由だ。生徒は1人3つのアイデアを持ち寄って、グループで企画書を作成した。

作品の相互評価からメディアの特性見直す

動画は生徒自身がデジタルカメラで撮影し、Windowsムービーメーカーで編集する。作品完成後は、クラス全体で視聴して相互評価した。その中で「リアクションがわざとらしい」「長いコメントにも関わらずすらすら話していて不自然」と指摘する生徒、自らの映像制作を振り返って「インタビュー相手に用意した台本通りの内容を話させてしまったが、これは『やらせ』だったかもしれない」と振り返る生徒もいた。

自己評価ワークシートを分析すると、映像制作・編集を行う過程で「テーマに沿った内容」や「おもしろい内容」を採用して、「テーマからそれた内容」や「ネガティブな発言」をカットしたと答えたグループが多かった。

授業後、生徒からは「映像などのメディアをそのまま信じるのは危険だと感じた」、「日常的にみているテレビ番組にも過剰に演出されたものがあるかもしれない」と、受け手側のメディア・リテラシーを見直す生徒や、「映像は強力なメディアだ」、「テレビなどで見る映像も意外と簡単に作れるとわかった」と映像表現のスキルや特性に関心を持つ声も挙がった。

岡本教諭は、「自分たちで映像を制作して評価し合うことで、受け手のメディア・リテラシーについて、生徒同士でより深く話し合うことができていた。また、授業に参加した生徒が映像を使った活動を自主的に行うようになるなど、授業外への波及効果もあった。生徒は、メディアの情報は作り手によって編集されたものであり、ネットなどで得た情報は参考程度に受け止めるべきであるという認識を深めていた。今後は、生徒の情報収集スキルを養うことが必要。今後も、生徒が楽しみながら主体的に学べる情報科授業を検討していく」と話した。そのほか岡本教諭の「情報」関連の実践はWeb「自転車操業の事業実践『情報科の授業アイデア』」にもアップしている(www.okamon.jp/)

【講師】聖母被昇天学院中学高等学校・岡本弘之教諭

 

【第2回私立公立高等学校IT活用セミナー・大阪:2017年2月25日】

  1. 府立東百舌鳥高等学校 牧野浩二校長
  2. 近畿大学附属高等学校 乾武司教諭
  3. 府立夕陽丘高等学校 長瀬勇輝教諭
  4. 金蘭千里中学高等学校 渡辺徹教諭
  5. 県立岡山芳泉高等学校 小野政博指導教諭
  6. 聖母被昇天学院中学高等学校 岡本弘之教諭

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