秋は“五穀豊穣”“実り”のシーズン。(一社)和食文化国民会議(以下、和食会議)は、11月24日を「和食の日」と制定し、11月を「和食月間」と位置付けている。
和食会議では「和食の日」を中心とした10~12月の期間に、役員や会員が講師として学校に出向く「特別出前授業」を例年実施している。今年度は17校の小・中・高等学校・特別支援学校・大学で行われる。
11月21日には東京都新宿区立津久戸小学校(牧田健一校長)で「特別出前授業」が開催された。
1.「和食のマナー」と「みそ」を学ぶ
2. 和食献立で「いただきます」
3. 全国約1万4000校で「和食給食」の献立
1.「和食のマナー」と「みそ」を学ぶ
新宿区立津久戸小学校で「特別出前授業」を受けたのは、5年1組・2組の47名。4時間目の「出前授業」、そして講堂で「和食給食」を喫食した。
各学級の教室では、料理研究家で和食会議副会長の後藤加寿子氏による授業「『和食』の文化とマナーについて」。
まずは毎日食べる「ごはん」について、クイズからスタート。「京都では、ごはんと一緒に食べるものを何というでしょうか?」①おまわり ②ひまわり ③おすわり、の3つの選択肢それぞれに児童が元気に手を挙げた。
…答えは「おまわり」。おまわりは“おかず”を指す言葉で、食事の際、ごはんを中心に、おかずを一緒に食べることから使われる表現だという。ごはんとおかずを一緒に食べることは、美味しく、バランスの良い食事に結びつく。良く知られる和食の「一汁三菜」は、おかずに海外の食材も取り入れて時代と共に変化しながらも、日々の食生活をバランス良く保つ知恵と言える。
授業では、こうした一汁三菜や、だしの試飲、お箸の使い方をはじめとする和食のマナー、「いただきます」「ごちそうさま」に込められている‟自然への敬い“人への感謝”などについてわかりやすく紹介された。
家庭科室では、マルコメ(株)・和食会議 普及・啓発部会副部会長の須田信広氏による「お味噌ができるまでと食べ比べ」の授業が行われた。
児童は普段なかなか見ることのできない麹菌や米麹を興味深げに観察し、米味噌・麦味噌・豆味噌をはじめ、10種類の味噌の食べ比べを行った。
大豆と麹の割合や塩の量によって、同じ材料でも味噌の味わいが甘くなったり辛くなったりすること、味噌を仕込んだ後の期間も半月、1か月、2か月と時間を経て味噌が出来ていく過程で食感や味が変わることなどの説明を受けながら味噌を味わい、その違いを体感した。
2.和食献立で「いただきます」
そして講堂(体育館)ではいよいよ「和食給食」を喫食。
献立は、ごはん、ぶりの照り焼き、おからの炒り煮、野菜の塩昆布和え、味噌汁、牛乳、お茶。
ごはんは青森県産「晴天の霹靂」を使用。おからは普段同校の給食の豆腐を仕入れている神楽坂の勝野豆腐店から取り寄せた。また野菜は東京産の人参や長ねぎ、キャベツ、小松菜を使用。三信化工(株)の協力により、和食器で配膳された。
牧田校長、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部外食・食文化 食文化室長の永濵享氏の挨拶ののち、代表の児童と共に会場全員で「いただきます」。児童たちは黙食を守りつつ美味しそうな表情を見せ、“お代わり”の列もできていた。
3.全国約1万4000校で「和食給食」の献立
和食会議では「だしで味わう和食の日」の取組を2015年より継続して行っている。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に、和食文化を次世代へ継承し、国民全体でその価値を共有する活動の一環だ。
全国の小・中学校、幼稚園、保育所などを対象に協力校を募り、11月24日の「和食の日」を中心に和食献立の給食を子供たちに提供、汁物などで和食の要であるだしの“うま味”を体感し、和食文化に興味を持ってもらうことを目的としている。
協力校には和食に関するリーフレット等を提供しており、2022年度は14,000校(昨年度は13,318校)、330万人以上の参加が見込まれている。
(一社)和食文化国民会議 ホームページ https://washokujapan.jp/