授業に参加したのは5年生4クラス、121名の児童たち。2時間目・3時間目の2回に分け、2クラスずつ行われた。講師の柳原尚之氏は「和食ってなーに?」をテーマに、「和食の良さ」や「だし」について伝えた。
ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。その特徴は、「食材の豊かさ」「健康的」「季節感」「郷土料理と年中行事」が挙げられる。
特に「食材の豊かさ」について、柳原氏は「日本の食材の種類の多さは世界一」と語る。
島国であり、南北に長いことから色々な温度帯でさまざまな野菜が採れ、4つの海流があり、暖流と寒流の両方の魚が獲れることなど、日本の国土が豊かな食材を作っている。
また国土の70%が山であり、この山々が日本料理の一番大切な水を作っている。山からの川の流れが急ですぐに海に流れる。綺麗な水があり、日本料理へとつながってきた。日本料理は、水と、醸造調味料(醤油、味噌、みりん、酒など)で作られる。そして、たべもののうま味成分を水に出すことが「だし」。日本料理美味しくするためには、「だし」をひくことがとても大事だ。
「『だし』は何からとれるかな?」という柳原氏の問いかけに、児童からは「鰹節」「昆布」「煮干し」「干し椎茸」「貝がら」などの声が元気に挙がっていた。
だしに使う食材の1つである、乾燥した昆布の実物を児童が一方を持って広げると、その長さに驚く声も。
子供たちには小さな昆布が配られた。口の中で舐めて、昆布を出し、口の中の唾液を飲み込むと、舌に「うま味」が残る体験をした。
また固い鰹節を柳原氏が削り、子供たちがその匂いを嗅いだり、実際の「あわせだし」を試飲するなど、体験しながら「だし」について学ぶ時間となった。
柳原氏は「1+1=2ですが、だしの場合は変わります。昆布と鰹節をたすと、うま味は8倍になると言われている。それは、皆も、仲のいい友達と一緒だと賑やかになるし、クラスだともっと賑やかになる。私たちの仕事は、美味しい組み合わせを見つけること。みなさんも、いい友達をみつけて楽しい小学生、中学生、高校生活を送って下さい」と締めくくった。
そして給食の時間は、5年生全員が体育館で和食給食を喫食した。
この日の献立は、ごはん(新米)、かつおの南蛮漬け、ゆず風味あえ、ぐる煮、ぶどう、牛乳。
「ぐる煮」とは高知県の郷土料理で、冬の根菜を使った煮物のこと。「ぐる」には仲間、みんなといった意味がある(参照:農水省HP)。だしを多めにして汁物として提供した。和食器で配膳され、ござに正座し、子供たちは和の雰囲気の中で味わった。
喫食中は三信化工の海老原誠治氏が講義を行ない、和食が外国のさまざまな文化を取り入れながら発展したこと、米を育てるためにどれ位の量の水を使っているか、などを解説。和食器の絵柄にどのような意味があるのかを紹介すると、子供たちは興味深そうに手元の食器を見つめていた。
子供たちに和食文化に触れる機会を提供する「だしで味わう和食の日」は、2015年から(一社)和食文化国民会議が、農水省や関係各省庁と連携して活動を展開している。10回目を迎えた今年は、全国約1万6000校・園で実施された。