本連載最終回は「和食月間」に向け、小学生・中学生が味噌汁や和食献立を考え、給食でみんなで味わい共有する、学校給食センターの取組を紹介する。みんなが食べたくなるのはどのようなものか。「和食」への理解を深めつつ、周りの人を想う心が育まれている。
野洲市立の園・小学校・中学校の子供たちが一斉に、市内の小学生が考えた「みそ汁」を給食で頂く。もう7年ほど続いている11月の「和食月間」の取組だ。
野洲市学校給食センターでは、市内の幼稚園4園、認定こども園4園、小学校6校、中学校3校の給食約5800食を調理しており、基本的に共通の献立となっている。
同センターの松村あゆみ栄養教諭は今年4月に同センターに着任。「学校給食センターは市の全校・園が一緒の給食を頂いているという一体感があり、センターならではの楽しい企画もできる」と語る。
「和食月間」の取組も、同センターが中心となり、各校と連携して行っている。
※「だしで味わう和食の日」https://washokujapan.jp/dashi-document/
まず年度当初に各小・中学校へ「学校給食献立募集」を依頼。和食のおいしさ、大切さを考えることを目的とし、小学校では「みそ汁のレシピ」を、中学校では「主食・主菜・副菜・汁物がそろった一食分の和食献立」を考える。各校それぞれのタイミングで取り組めるようにワークシートも早めに配付。小学校では給食主任の教員が、また中学校では家庭科の教員が主にとりまとめる。
9月には各校から代表案が提出され、11月の和食月間に小学校6校で考案された「みそ汁」が、また1月の学校給食週間には、中学校3校で考案された「和食献立」が提供される。
センターでは出前授業も行っている。「みそ汁のレシピ」考案に向けて、松村栄養教諭も今年6、7月に、中主小学校で指導にあたった。同校では給食委員の「みそ汁」担当の児童が代表案を考える。
松村栄養教諭は秋が旬の食材を伝え、「自分が好きなものばかりを入れるのではなく、みんなが食べるから、小さい子や中学生のことも考えよう。人を想ってメニューを作ろう」と話すと、児童たちは腑に落ちた表情を見せた。「さつまいもを入れて甘くした方が良いかな」「きのこを入れたいけど、しめじとえのき、苦手な子が多いのはどちらだろう」などみんなで組み合わせを考え、タイトルも食べたくなるようにと頭を捻った。
そして完成したのが『あつまれ!秋の野菜の森たべてみ野洲(やす)みそ汁』。きのこ・豚肉・さつまいも・人参・玉ねぎ・白菜で具沢山に、煮干し出汁と淡色からみそを使う予定だ。タイトルには人気ゲームの名前を取り入れ、楽しく頂けるように考えたという。
夏休み明け、今年も工夫を凝らしたレシピや献立がセンターに届く。
11月24日は「和食の日」。学校給食で子供たちが和食に触れる機会にしませんか。
(一社)和食文化国民会議では、全国の保育園・幼稚園・小学校・中学校の学校給食や授業で活用できるよう、和食について学べて家庭にも伝えられるリーフレットや、給食だより等で利用できるダウンロード素材、「和食の日」の実践事例の資料などを用意しています。
詳細URL=https://washokujapan.jp/dashi-document/
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年8月21日号掲載
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