安全でおいしい学校給食は食育の生きた教材であるばかりでなく、国産や地産地消の食材利用や地域・家庭への啓発など多くの課題を抱えている。弊社は学校給食や施設設備の更なる向上のため、献立作成から調理、運営までの衛生管理や業務効率化に役立つ情報を提供するセミナーを企画。2月27日東京都内で｢第3回学校給食向上（施設管理）セミナー｣を開催した。都内を中心に近県から多数の学校給食関係者が参加した。
講演で学校給食に関する情報を提供
この日のセミナーでは、4つのテーマによる講演と出展企業の商品情報のプレゼンテーションが行われた。
学校経営という立場で学校給食と食育の役割について｢学校給食の期待と食育の課題～学校経営の視点から｣をテーマに講演した東京都中学校食育研究会会長・江熊秀昭氏（文京区立本郷台中学校長）は、学校における食育は栄養教諭や学校栄養士だけでなく全ての教職員が取り組まなくてはならず、そのため意識改革が必要と強調した。
財団法人による給食運営という形態の現状を語ったのは（一財）武蔵野市給食・食育振興財団事務局長・大杉洋氏。｢財団方式による安全・安心でおいしい給食の提供｣をテーマに、地産地消や有機・無農薬栽培等食材を厳選すると共に生鮮食品の当日納品・当日調理、手作りや素材からの出汁の使用へのこだわりなどといった給食運営の現状を紹介した。
（一財）東京顕微鏡院学術顧問・伊藤武氏は特にこれからの季節に注意を要する給食調理場の衛生管理について、カンピロバクター汚染を中心に講演。特に鶏生肉の扱いに注意が必要で、少量の感染で発症するがきちんと加熱処理することで防止でき、適切なオペレーションが大切だとする。
強制でなく望ましい方向に人を導くナッジ理論やICTを食育に活用した実践を発表したのは船橋市立海神南小学校栄養教諭の上野理絵氏。｢食の指導とICT活用、ナッジ理論による実践｣と題して講演した。ナッジの4つのテクニックの中で食育との関連では、｢願望を操る｣という｢インセンティブ｣の活用例が身近。クイズ等に絡めて正解するためには完食しなければならないなどの工夫がみられた。
ブースで給食関連製品に触れる参加者
出展企業各社によるプレゼンテーションでは、製品のアピールポイント等情報提供が行われた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年3月17日号掲載
