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減災教育は「可視化」がポイント~気候変動を踏まえフォーラムを開催~日本ユネスコ協会連盟・アクサ生命保険

2025年3月17日

(公社)日本ユネスコ協会連盟はアクサ生命保険㈱の協力による「アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム」の一環として、「減災教育フォーラム~減災教育を地域に広げ、未来につなげる~」を2月1日開催。減災教育は気候変動と自分たちの生活のつながりや学びのプロセスなどを「可視化」することがポイントだとする講演、パネルディスカッション、助成校の学校からの減災教育の実践報告などが行われた。


【講演】

講師の及川幸彦氏

「気候変動と防災・減災は表裏一体~気候変動時代の新たな減災教育の提案~」をテーマに奈良教育大学ESD・SDGsセンター・副センター長の及川幸彦による講演が行われ、地球温暖化により世界の年平均気温は上昇を続けているが各国の対応は遅れ、危機的な状況にあると及川氏は警告した。

この20年間で洪水や台風による災害の発生件数は急増している。「気候変動」と「災害」は密接な関係にあり、両者を統合して考える必要がある。平均気温の上昇に伴い台風は巨大化し、線状降水帯による豪雨も発生するようになり、被害は日本全土に及ぶ。

日本には約1100校のユネスコスクール加盟校があるが、文科省の調査ではSDGs17の目標のうち目標13「気候変動に具体的な対策を」に取り組んでいる学校は17・9%に過ぎない。ユネスコでは持続可能な開発のための教育(ESD)に向けて気候変動教育に取り組むことを呼びかけており、さらなる実施が望まれる。

気候変動教育をカリキュラムとして取り上げるためには、視点1「SDGsや自分たちの取組と気候変動との、つながりを可視化する」、視点2「気候変動教育の推進に向け、学びのプロセス(ステップ)を可視化する」など見える化がポイントになる。

視点1では感染症、熱中症、水不足、気象災害、海水面上昇など自分たちにとって身近なSDGsの要素を気候変動に組み合わせ、可視化する。視点2ではステップ1「災害の種類や発生のメカニズムなどを学ぶ」、ステップ2「気候変動が生活や環境にどのような影響を与えるかの因果関係を認識する」、ステップ3「気候変動がもたらす災害のリスクを軽減するため対応する」、ステップ4「被災からの復興に向けた貢献のあり方を学ぶ」など、気候変動教育のプロセスを4段階に分けて進めることを提案している。


【パネルディスカッション】

能登の地震で生徒らが活躍

「減災教育を地域に広げ、未来につなげる~災害の教訓を減災教育の継続と発展にいかして~」をテーマにパネルディスカッションが行われ、石川県珠洲市立緑丘中学校の道下忠成教諭が昨年発生した能登半島地震での経験を発表した。

緑丘中学校は2023年度「アクサユネスコ協会 減災教育プログラム」助成校だったが、取組の途中で能登半島地震に見舞われた。体育館や普通教室は避難者の生活スペースとなり、教員らは避難所の運営にあたる中で生活のルールなども作られていった。

簡易シャワーや携帯電話の充電設備など生活必需品は次第に整備され、避難者が安心して使えるように生徒たちが活躍した。シャワーなどを使用するため定期的な点検が必要で時間も制約されるが、生徒が協力して点検や受付を行った。

避難所となった緑丘中学校

同校は避難先の金沢市・医王山スポーツセンターに登校する生徒と2か所に分散し、教員も分かれて授業再開。スポーツセンターでは能登地区の複数校との共同生活となったが、衣食住の整った環境で生活を送れた。同校やスポーツセンターには県内外から多くの教員が支援に駆けつけ、宿泊監督などに協力した。

最後に道下教諭は「『震災前に実施した防災・減災学習のおかげで助かった』という生徒の声を聞いて、プログラムの意義を実感した。現在、生徒は総合的な学習の時間で『珠洲の未来』をテーマに探究学習を進めながら郷土愛を深めている」と報告した。

 

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年3月17日号掲載

 

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