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防災教育への視点 一般財団法人防災教育推進協会 理事長 濱口和久~第6回「災害ボランティアの育成を」

2025年2月17日
連載 防災教育の視点

専門性とスキル 国が認証へ

自然災害が起きると、自衛隊、警察、消防、海上保安庁などを中心に公助を担う実働機関が被災地に派遣され、支援活動を展開する。特に自衛隊は炊き出しや入浴支援をする能力を持っており、最近は派遣期間が長期化するケースが増えている。昨年1月に発生した能登半島地震でも、自衛隊の入浴支援を行う需品科部隊が8月末まで活動を続けた。

自衛隊の入浴支援を行う需品科部隊は、陸上自衛隊のすべての駐屯地に存在するわけではない。そのため、長期間にわたって被災地での活動が続くと、本来の自衛隊の訓練にも支障をきたすことになる。

日本では実働機関に加えて、被災地での支援活動を担うのが災害ボランティアだ。

日本と同じく自然災害の多いイタリアの災害ボランティアは、日本のボランティアとは違い、事前に災害対応についての研修や訓練を受け、ボランティア団体に災害派遣希望登録を済ませている。被災地で活動する場合には有給休暇・災害保険・交通費などが保障される。

1990年代に災害ボランティア団体の認証が政府から行われ、個人で活動するのではなく認証された団体に属し、グループとして活動する形態が確立された。その結果、災害ボランティア団体は警察、消防、軍隊などの実働機関と同等の扱いを受ける組織となっている。

兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を契機として、日本でも災害ボランティア団体が続々と誕生したが、イタリアの災害ボランティア団体のレベルには程遠い。個人で被災地に入って支援活動をする人も増えたが、ほとんどが何の訓練も研修も受けていない素人に等しい人ばかりだ。

災害ボランティアの能力を高めることは、間違いなく日本全体の防災力の底上げに繋がる。そのためにいつまでも「災害ボランティア=無償の活動」ではなく、イタリアのような有償で活動できる仕組みを同時に作るべきではないか。地方自治体も、災害ボランティアを無償で使える道具としか遇していない現状を改めるべきだろう。

一方、公費で民間資格の防災士を養成している地方自治体もあるが、その大多数が取得後は何も活動していない。公費を投入する以上、義務と責任を課たすべきだろう。

「災害大国」から「防災大国」への転換を図るためにも、専門性と高いスキルを兼ね備えた災害ボランティアの育成に、日本も国を挙げて取り組むべきである。

第1回 日常防災の必要性

第2回 正しい避難行動と防災知識

第3回 自然災害への向き合い方

第4回 史料から災害を読み解く

第5回 「稲むらの火」と「世界津波の日

 

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年2月17日号掲載

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最新号見本2025年02月14日更新
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