スポーツ庁が12月公表した2024年度｢全国体力・運動能力、運動習慣等調査｣によると、児童生徒の体力は、中学男子がコロナ禍以前の水準に戻ったが、小学校女子は低下、小学校男子と中学校女子は横ばいの状況だ。2024年4～7月に実施された国公私立の小・中学校で実施された実技テスト等で、小学5年生、中学2年生を対象にした悉皆調査。握力、反復横跳び、50㍍走、ソフト(ハンド)ボール投げなど8種目80点満点の点数を、Ａ(小学5年＝65点以上、中学2年＝57点以上)からＥ(小学5年＝41点以下、中学2年＝26点以下)の5段階で評価した。
体力合計点の平均は小学校男子52.5点（前年度52.6点）、同女子53.9点（54.3点）、中学男子41.7点（同41.2点）、同女子47.2点（同47.1点）だった。最近10年間の増減をみると、小・中学校男女のいずれも2018年度をピークとして2019年度以降は下降（2020年度は新型コロナウイルス感染症対策のため中止）が5年間にわたった。
1週間の総運動時間420分以上の児童生徒の割合は、小学校男子が50.4％、女子が28.4％で共に前年より増加。中学は男子が76.2％、女子が56.0％で共にほぼ横ばいだった。
一方、1週間の総運動時間が60分未満の児童生徒の割合は男子より女子に多く、小学校男子は9.1％、中学校男子は8.9％、小学校女子は16.0％、中学校女子は21.8％にのぼった。
体力合計点の全国平均と比較すると週当たり運動時間420時間以上の児童生徒は、小学男子が4.4点、女子が4.9点、中学男子が2.3点、女子は5.4点で、それぞれ上回った。
｢運動は好き｣｢体育・保健体育は楽しい｣と答えた児童生徒は男女、小中学校共に増加。小学校では男子の73.1％、女子の54.9％、中学校は男子の65.0％、女子の43.2％が｢運動が好き｣と回答した。
朝食を｢毎日食べる｣児童生徒の割合は、男女小中学校共に増加した。さらに睡眠時間が｢8時間以上｣の児童生徒の割合も、男女小中学校共に増加した。しかし睡眠時間を阻害する要因の一つとされているデジタル機器の｢スクリーンタイム｣に、長時間を費やす児童生徒の割合もわずかだが増加している。
朝食を｢毎日食べる｣と回答した小学校5年生男子は81.3％、前年度より0.5ポイント増加。同女子は79.5％で0.1ポイント増えた。更に中学2年生では男女共に、増加が顕著。男子は前年80.0％ら81.7％に、女子は73.0％から74.5％に上昇した。
睡眠時間が｢8時間以上｣の児童生徒の割合が男女小中学校共に顕著に増加した。増加した割合が最も大きかったのが中学2年男子で6.2ポイント増え35.4％、同女子が5.1ポイント増で26.7％、小学5年生は男子69.2％。女子が71.6％で共に1.6ポイント増だった。
テレビ、PC、スマートフォンやゲーム機等を視聴するスクリーンタイムが｢1日3時間以上｣と回答した小学5年生男子は44.1％（前年度42.0％）、女子は38.7％（同36.7％）、中学2年生は男子49.3（同47.3％）、女子は48.4％（同46.0％）だった。わずかだがいずれも前年より割合が増加している。
｢体育の授業以外で体力向上の取組を全ての学年で行った｣と回答した学校は小学校が80.5％、中学校が40.4％だった。
小学校は2019年度（84.4％）が最も多かったが2020年度のコロナ禍をまたいで2021年度には71.4％にまで減少して以降、少しずつ盛り返している状況。一方の中学校は、同様にコロナ禍前年度では54.9％だったところ2021年度は39.8％まで減少。翌年度は45.2％に盛り返して以降、少しずつ減少している。
取組で最も多かった活動は、小学校は｢なわとび｣、次いで｢ランニング｣、｢運動遊び｣、｢ボール運動｣など。中学校は｢ランニング｣で、他に｢ボール運動｣、｢複合した活動｣、｢運動遊び｣、｢体操｣、｢なわとび｣などだった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年2月17日号掲載
