文部科学省が先ごろ公表した2023年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、いじめの認知件数は73万2568件で前年度から5万620件、7.4%の増加で、「冷やかし、からかい、悪口」など言葉によるいじめが各校種別でも最も多かった。
いじめの増加傾向が続いている。コロナ禍の全国一斉休校などで登校日が少なかった20年度は減少したが、21年度からは前年度を上回り、23年度は過去最多だった。さらに、いじめによる児童生徒の生命・心身、財産に重大な影響が生じた疑いがある「いじめ重大事態」も、前年(919件)より42%と大きく上まわる1306件となり過去最多だった。
内容別にいじめの傾向をみると、小学校から高等学校、特別支援学校までの全ての校種で最も多かったのは「冷やかしやからかい、悪口や脅し」などの言葉によるいじめだった。次いで多かった内容は校種によって違いがあり、小学校は「軽くぶつかる、遊ぶふりをして叩く、蹴る」、次は「仲間はずれ、集団による無視」など。中学校は「軽くぶつかる、遊ぶふりをして叩く、蹴る」、「嫌なこと危険なこと等をする、させられる」など。高等学校は「パソコンや携帯電話等での、ひぼう・中傷」、「仲間はずれ、集団による無視」、特別支援学校は「軽くぶつかる、遊ぶふりをして叩く、蹴る」、「嫌なこと危険なこと等をする、させられる」などで、ほぼ中学校と同じ傾向だった。
いじめ対策として文科省は、スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置による教育相談体制の充実、警察OB・OG等多職種の専門家を「いじめ対策マイスター」として教育委員会に配置して個別のいじめ案件に直接的に対応し、いじめの未然防止の指導教材の制作などに取り組むという。また、こども家庭庁は2025年度予算で、地域におけるいじめ防止対策の体制構築のため「学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組づくりに向けた手法の実証」や「いじめ調査アドバイザー」の活用経費を計上した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年11月18日号掲載