国連のグテーレス事務総長は「地球沸騰の時代が到来した」と警告したが、文部科学省が公表した今年9月時点の公立学校普通教室の空調(冷房)設備設置状況は特別支援学校が100%に達したのをはじめ、高等学校99.4%、幼稚園99.3%、小中学校99.1%など99%以上を達成している。しかし災害時の地域住民の避難場所となる体育館の空調は小中学校が18.9%(災害時協定で外部からの提供可能な数値を含めて29.0%)で設置の遅れが目につく。
公立小中学校の普通教室数は38万4983室で冷房設置数は38万1413室、設置率は99.1%。前回調査(2022年)では95.7%だったところから3.4㌽増加した。特別教室は35万8024室のうち23万9679室に設備され設置率66.9%だった。体育館は3万2616室で設置は6150室(協定で確保9472室)、設置率は18.9%(29.0%)。前回からは7.0㌽(7.0㌽)増加だった。
都道府県別の設置状況をみると、普通教室は32都府県が100%だった一方、平均気温が比較的低い北海道・東北、関東・甲信越等の内陸県が届かず、西日本の多くの県は100%に達していた。
小中学校の体育館の冷房設置率は、全国平均が18.9%で2割足らずだが、都道府県の差が大きい。もっとも設置率が高いのが東京88.3%で突出し、以下が大きく差がついて山形49.5%、大阪42.1%、栃木41.0%、兵庫34.2%などで平均を上回ったのは他に千葉29.9%、奈良22.6%、愛知20.6%、静岡20.5%、埼玉19.8%、群馬18.9%の11都府県しかなかった。
一方で最少の長崎0.4%をはじめ、富山0.6%、佐賀0.7%、鹿児島1.2%、福井1.3%、福島・石川が1.5%、秋田1.7%、岩手1.9%など2%に満たなかったのは9県に上った。
公立小中学校の冷房設備の設置状況の推移をみると、普通教室では2011年から18年までの8年間で、設置率は約20%から60%へと緩やかに上昇。しかし18年7月、校外学習で徒歩で公園に行った小学1年児童が教室に帰着後、熱中症を発症して死亡した事故を受けて文科省の「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」(2018年度補正予算)の措置がとられ、翌年の19年は78.4%、20年に93.0%で早くも9割台に到達。それ以降、2年後の22年は95.7%、24年に99.1%など落ち着いた増加となっている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年10月21日号掲載