文部科学省は先ごろ教職員向けに、いじめ研修動画教材「ネットいじめ研修~全体編~」を公式YouTubeチャンネルで公開した。いわゆる「ネットいじめ」を同省は「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」ことと定義。「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(文科省・2022年)では、2万3920件で過去最多だった。さらに昨年度は報告のあった重大事態150件のうち、28件でネットいじめが確認されているなど深刻な状況にある。
このような状況をうけ作成した今回の動画教材では、児童生徒を取り巻くICTの環境やネットいじめの状況への理解とそれに対する解決策について、講師の竹内和雄教授(兵庫県立大学環境人間学部教授)が解説している。
同教材では、ネット利用の低年齢化が進み、ネット利用率は「2歳」で62.6%と6割を超え、ネットによる「ひぼう・中傷、嫌なこと」をされた経験のある小学生は15年間で15.9倍に急増している等の背景について具体的データをもとに解説。オンラインゲームでのトラブルがいじめの発端となる小学生、グループラインを駆使して学校行事等の相談をする仲間から「無視」、「はずし」に発展する中・高校生の事例等を紹介。
最後に中学生たちが相談してまとめた「いじめをなくすための提言」を紹介。「先生へ」では「いいところはたくさんほめて欲しい」等、「保護者へ」では「子供を信じて、私たちの考えを知ってほしい」等、「行政へ」では「加害者にもカウンセリングや心のケアを」等、「自分たちへ」では「いじめた子が反省したら、許して普通に接する」等の意見が発表された。
動画教材は、下記の文科省公式YouTubeチャンネルで視聴できる。また、同省WebサイトではPowerPoint形式の関連資料も公開している。
▼動画=https://www.youtube.com/watch?v=_AICbhfLirI
▼サイト=https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1406070_00002.htm
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載