子供たちに味覚の気づきを体験してもらう食育運動「味覚の一週間」(主催:「味覚の一週間」実行委員会、後援:文部科学省、農林水産省、厚生労働省ほか)が今年で14回目を迎え、10月1日から11月29日まで行われる。1990年にフランスから始まり、日本では2011年からスタート。今年度の概要が実行委員会(瀬古篤子実行委員長)から報告された。
期間中は料理人やパティシェが、小学校で味の基本と食べる楽しさを教える「味覚の授業」や、食育関連のイベント「味覚のアトリエ」が行われる。昨年の「味覚の授業」は224校・1万2636人が体験し、今年は8月23日時点で218校・1万3228人から申し込みが寄せられた。
今年のテーマは「食の安全」。自分が食べているものが誰によって作られ、どのように運ばれてくるのか出前授業などを通して考える。
①「消費者、特に若者に対して味覚教育・学習を行う」、②「多くの人に多様な方法で味や風味を摂取することを提案する」、③「安全な食べ物を生産、製造、加工するよう働きかける」、④「食べ物のルーツ(原産地・生産方法・質など)の情報を透明性高く、かつ学問的に提供する」、⑤「健康によい食生活とともに、食による豊かなコミュニケーションを目指す」の5つが目的。
日本の「味覚の授業」では甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの味覚を子供たちに説明。食材の匂いを嗅がせたり、実際に味わったり、食感を確かめたりしながら味について興味と関心を促す。また、子供たちは講師が用意した食材を味わいながらコミュニケーションを図る。子供同士でも食べたものの感想を述べあうなど食べることの楽しさを広げる。そして未来の食の担い手である子供たちの正しい理解と関心を促す。
▽地域の課題解決の視点から日本のジビエを考える「ジビエを知ろう(仮題)」(日程調整中)
▽滋賀県高島市をアントニー・バックル氏、徳島県徳島市をドミニク・コルビ氏、石川県金沢市(シェフ調整中)を訪問する「フランス人シェフが日本各地を訪ねる」(10~12月)
▽柳原尚之氏(近茶流宗家)と和田明日香氏(料理家、食育インストラクター)による公開対談「考えて、食べる」(10月18日、服部栄養専門学校)
▽ブランシュ・ロワゾー氏(ロワゾー・ドゥ・フランス)による「レストランで味覚の授業(仮題)」(10月予定、東京日仏学院内)
▽寺井則彦氏(エーグルドゥース オーナーシェフ)と伊藤文彰氏(ルヴェソンヴェール オーナーシェフ)「地球環境とパティスリー(仮題)」(11月予定、東京大学駒場キャンパス内)
呼びかけ人の1人である服部栄養専門学校の服部幸應理事長・校長は「食育基本法が施行されてから19年経つが、この法律はフランスの『味覚教育』を参考にしている。フランスにならって『味覚の一週間』では子供たちに五味の重要性を伝えている」と語る。また江戸懐石近茶流「柳原料理教室」主宰の柳原尚之氏は「さまざまな食べ物に出会い、それを作ってくれる親や生産者に感謝するよう伝えている」と述べた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載