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食育推進は全体計画を立て学校組織全体で取り組む~第1回全国学校給食・栄養教諭等研協議究大会シンポより

2024年9月23日

第1回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会が8月1日・2日、長野県長野市のホクト文化ホールほかで開催された。初日は文部科学大臣表彰の表彰式や記念講演、行政説明等に続いてシンポジウム「組織で取り組む学校における食育推進の在り方」が行われた。同シンポでは食育の推進には学校全体での取組が大切であること、そのため実現可能な全体計画作りがポイントとなることなどが話し合われた。主催=文部科学省、長野県教育委員会、長野市教育委員会、(公社)全国学校栄養士協議会、(一社)全国学校給食推進連合会、(公財)長野県学校給食会

シンポジウムの光景(左から)齊藤、山上、赤松、寺川、重田、松田各氏

シンポジウムは「組織で取り組む学校における食育推進の在り方~全教職員が食育の必要性を理解し、子供に必要な食育を行うために~」を主題に、文科省初中局学校給食調査官・齊藤るみ氏、同食育調査官・山上望氏がコーディネーター、香川県綾川町立陶小学校教頭・赤松美雪氏、長野県伊那市立伊那西小学校教諭・寺川耕平氏、愛知県豊田市立豊田特別支援学校栄養教諭・重田玲子氏、2021年度長野県PTA連合会副会長・保護者代表の松田愛絵氏がシンポジスト。

栄養教諭の職務内容

齊藤氏は栄養教諭の職務内容を説明。「養護教諭及び栄養教諭の資質能力の向上に関する調査研究協力者会議 議論の取りまとめ」(2023年1月17日文科省)で、求められる役割(職務の範囲)の明確化について触れている。さらに同年7月5日「養護教諭及び栄養教諭の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則の参考例等の送付について(通知)」も発出され、校長による適切な校務分掌を求めており、教育委員会の基礎資料として示されている。

食の指導の時間確保へ

重田栄養教諭は「通知が出る以前から、市では栄養教諭が給食管理に多くの時間が割かれている現状を受け、物資の発注や食数の管理など、栄養教諭ではない人でもできる業務があるのではないかと考えた」という。どのような業務にどれ位の時間をかけているのか、市内の栄養教諭と調査して市に提出し、職務の整理について検討中だ。

赤松教頭は、町で実際に栄養教諭の業務を整理した事例を紹介した。「特区を受けた調理場が、小学校だけでなくこども園の給食も作るようになった。こども園業務では、アレルギー対応が増え、10時3時のおやつもあり、栄養教諭の食の指導の時間がなくなってしまった。検討した結果、今年の9月から、献立作成は栄養教諭が引き続き担い、それ以外の、給食施設の衛生管理は委託事業者、発注業務は町が行うことになった。栄養教諭は空いた時間を学校の食の指導に使えるようになる」と説明。

プロの指導が”響く”

食に関する指導には、栄養教諭の業務の明確化や業務の整理の必要性に加え、”周りの教員との関係が深まらないとなかなか進められない”といった声もある。

一般の教員の立場で寺川教諭は、普段の授業実践において「栄養教諭が家庭科などの授業に入ることで子供たちにとって、担任よりも(栄養教諭という)‘プロ’の話が、より響いている」と報告。保健体育では子供たちの「心の健康」の視点から、リラックスするための「食」の重要性、病気への抵抗力を高めるための食事についても栄養教諭が指導した。外国語活動では文化の学習として食事を取り上げ、給食の際に栄養教諭が作成したメニューについての配布物を活用した。「担任1人よりも、栄養教諭と2人で指導することで、子供たちの視野が広がり、担任も知識を得られ、給食指導や食の指導につなげられる」。

重田栄養教諭は、現任校の特別支援学校の取組を紹介した。野菜の栽培・収穫等、生活関連学習に栄養教諭が関わることが多いという。

「毎日の給食の時間にすべての学級に行き、指導することは難しい。そこで指導資料を作成・提供し、担任が給食指導を進める。子供たちの実態把握は欠かせないが、単独校では教員とこまめに情報交換ができる。子供たちにどういった力がついているのか、評価につなげるためにも、指導方法を適宜変えたりしながら実践している」という。なお全体計画には、成果指標や活動指標を入れることで、子供たちに食に関する力がついたかどうか、明確に評価を出せるようになる。

教職員・保護者との連携

寺川教諭は「担任は、学校と保護者の架け橋にならなければ」と話す。日々の給食指導の困難さについて「偏食や、嫌いだから食べない、食べるのが遅い、アレルギー対応」などの課題を挙げ、保護者のサポートがあるとすれば有難いという。

保護者代表の松田氏は「(1つのことを)栄養教諭の先生が言うと響く、または担任の先生が言うと響く、または保護者など、それぞれが言う。色々な人が子供たちに言うことで、子供たち自身が『また言われた、大事なことなんだな』と気づく。保護者も一緒に取り組んでいきたい」と話した。

まとめ

山上調査官は「組織で取り組むためのポイントは、全体計画を実行性のあるものにする、そのためカリキュラムマネジメントが必要」と語った。

教職員の多忙という現状を踏まえ、赤松教頭は「食育推進を教職員に言いづらい状況がある」という。食育推進の進捗状況を把握するためには全体計画の作成が大切であり「実施可能で、机上の空論にならない全体計画を作成し、管理職だけでなく、組織全体で取り組むことが大事」と話す。赤松教頭の勤務校では、学校評価をそれまでの年1回から、今年度から学期に1回として評価項目を見直した。学校生活全体のバランスを考えると、「『食に関する評価項目』を必ず入れるようにすると良いのでは」と指摘している。

 

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載

 

第1回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会速報

(教育家庭新聞 夏休み特別号2024年8月12日号掲載)

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