学校給食には安全でおいしく、食育の教材としての献立作成など多岐にわたる課題が求められていることから、弊社は7月23日都内で、栄養教諭・学校栄養職員や教育委員会担当者等を対象に、「第2回学校給食(施設設備)向上セミナー」を開催。「給食施設の衛生管理」や「ICTを活用した食育」をテーマにした講演、給食機器メーカー等のブース展示とプレゼンテーションに参加者が耳を傾けていた。
講演は(一財)東京顕微鏡院学術顧問・伊藤武氏による、冬季に増えるノロウイルス食中毒を中心に、その特性や対策を伝える「冬季に向けた給食現場の衛生管理の留意点」、ICT活用で変わった食育指導や、授業(家庭科・保健体育)と給食の連携、生徒の委員会活動でのICT活用例を発表した東京都立大泉高等学校附属中学校主任栄養教諭・嶋﨑美香子氏の「ICT活用による食育・栄養指導の実践」が行われた。
セミナーの休憩時間や講演の前後には、給食機器メーカーなどの出展ブースを巡って情報交換に努める姿もみられた。
参加者から回答があったアンケートの集約で、現在の課題と感じていることを聞いたが、「残菜(残食)」対策やフードロスに関する困難さや戸惑いの声が多くみられた。具体的な記述では「残菜量の軽減に取り組んでいる」、「サイクルメニューで献立がワンパターンになっているせいか、残菜率が高い」、「給食指導(食べ方の指導)が以前より難しく残菜が多い」、「SDGsなど学ぶ中で残菜の指導をすると反論してくる家庭や(一部だが)不登校気味になる子がいる」、「(ご飯の量など)給食提供に個別指導を取り入れる事例を知りたい」などがあった。
また栄養指導については、より対象年齢別の個別指導・栄養相談の進め方、より多様なICT機器の活用事例についてのニーズもあった。
3.東京都立大泉高等学校附属中学校 主任栄養教諭 嶋﨑美香子氏
教育家庭新聞 夏休み特別号2024年8月12日号掲載