前期授業も残すところ僅かとなり、夏休みに入る直前に、実技試験の内容発表と共に、試験手順の説明をし、補講を開催する旨も知らせました。調理の基本、切裁を学び、後期から始まる集団調理実習の手助けになるだろうと考えています。
9月第1週に実施される実技試験について、新学期が始まってすぐに切り方のお手本を提示していますが、練習をしないと上手くいかないものです。また、現在では個人情報保護の観点から、学生のエプロンに刺しゅうされていた個人名が無くなり、名前と顔が一致せず、お互いの認識がしにくくなっています。
特に服装面では、帽子をかぶり、マスクをしてエプロンを着けます。見えているのは眼だけです。班編成の名簿はありますが、5～6名の名前と顔が一致せず、ほめる時も注意する時も、意思の疎通がうまくいきませんでした。
実験・実習の先生方からも同様の意見があがり、名札を付けることになりました。不思議なものです。そばにいて、名指しで話をすると何と素直に応じる事か。
指導側の努力不足は否めません。人は個であり、集団となり、それぞれの意見を交えるようになります。時間経過が解決の糸口になることもありますが、こちらからの歩み寄りで、少し前に進めた気がしております。
少しずつ、実習内容も難易度が上がります。前回は、学生が作ったガトーフレーズの画像をお見せしましたが、今回はフライパンを使って作ったオムレツの画像です。オムレツのコツは卵をなるべく泡立てずに混ぜ、フライパンを持つ手首の動かし方で綺麗な形を作ることです。
火力も大切です。焦がすことが不安だと火力を弱くしてしまい、卵のたんぱく質がしっかり加熱されません。フライパンを前後に揺すりながら、菜箸で卵液を素早くかき混ぜるのですが、なかなか上手くできません。更に、手首のスナップと菜箸を上手に使って端によせた卵を返します。
横から学生と一緒にフライパンの柄を持ち、手首の返し方を指導したところ、成功して喜ぶ姿が見られました。デモンストレーションを見て、自分でもできると思うのでしょう。予想と違い出来なかった時の学生らのフォローが大切なのではないかというのが指導側の一致した意見です。名札を付けてくれたことにより、それぞれの人格が分かってきました。
自らを｢ほめられると育つんです｣と話しかけてくる学生もいます。こちらからのコミュニケーションを考えていきたいと思っています。
オムレツ１
オムレツ２
オムレツ３ 真俯瞰
オムレツ４ 順光
【著者】澤坂明美＝管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 夏休み特別号2024年8月12日号掲載
