地震は人間の都合に関係なく襲ってくる。24時間いつ起きてもおかしくない。人間の力で地震を防ぐことはできない。1月1日に起きた能登半島地震は、お正月気分を一瞬にして吹き飛ばす事態となった。「想定外」という言葉があるが、よりによって1年が始まる日に起きるとは誰も想像しなかっただろう。
能登半島地震で被災された地域以外の大多数の日本人にとっては、自分の暮らす地域で起きた地震でないために、マスコミなどの映像や写真などを通じてしか被災地を見ることができない。そのため、どうしても自分事ではなく他人事になりがちだ。記憶に残る兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)や東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)、熊本地震のときも、被災地以外の大多数の日本人は他人事のような感じだった。
日本は地震大国であり、首都直下地震や南海トラフ巨大地震が起きる地域に限らず、日本列島のどの地域に暮らしていても、日本人は常に地震リスクと隣り合わせでいる。実際、1995(平成7)年に起きた兵庫県南部地震から能登半島地震までの29年間だけを見ても、震度7クラスの地震が約4年に1回の間隔で起き、甚大な被害をもたらしているからだ。
地震の備えは一朝一夕にできるものではない。まさに「『そのときに何ができるか』ではなく『それまでに何をしておくか』」が重要となる。
日本を襲う災害は地震だけではない。毎年のように日本列島のどこかで台風や豪雨による洪水被害が起きている。洪水への備えとして、まず最初に押さえておくべき事項は、ハザードマップで自宅周辺の浸水リスクを確認することだ。次に自宅から避難所に指定されている施設(学校の体育館や公民館など)までの避難経路を実際に歩いてみて危険な箇所がないかをチェックする。避難経路は1つでなく複数のルートを確認しておく。また、ハザードマップはあくまでもシミュレーションであり、想定を超える事態が起きることもある。自宅の場所がハザードマップで浸水エリアになっていなくても、浸水する恐れがある。さらに言えば、ハザードマップは避難するうえでの判断材料にはなるが、自宅などの財産を守ってくれるわけではないということも知っておくべきだろう。
日本列島で暮らしていく限り、災害から逃げることはできない。自分の命は自分で守るという覚悟を持って、「平時からの対策・備えを疎かにすべきではない」という姿勢が求められる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年7月15日号掲載