日本人では推定で2200万人にのぼり高齢者に多く見られるドライアイだが、近年では低年齢化の傾向がみられ、小学生でも珍しくないという。PC・タブレットの普及やスマートフォン、ゲーム等の長時間視聴が要因の一つと考えられる。ドライアイと涙の関係や治療の現状などに関するセミナーが7月3日「ナ(7)ミ(3)だの日」を前にオンラインで開催された。
6月21日に開催されたオンラインセミナーは、京都府立医科大学鴈科学教室客員講師・小室青氏がドライアイの要因や症状、対策などの基礎知識について講演。涙が果たす役割を解説した。
涙には「目の乾燥を防ぎ表面の汚れを落とす」、「目に酸素や栄養を供給する」、「感染症を防ぐ」、「目の表面を滑らかにする」などの働きがあり、成分は主に水と油で構成される。涙腺から出て90%が涙点から排出、10%は蒸発する。通常は1分間に20~30回の頻度で行われる‘まばたき’で、涙が目の表面を覆う。まばたきがポンプの役目をしていることになっている。
ドライアイの簡単なチェックは、まぶたを10秒間あけ続けられるか。ドライアイなら数秒で乾いてあけ続けられない。ドライアイの定義は「様々な要因で『涙液の安定性が低下』する疾患で、眼表面の障害を伴うことがある」(2016年、日本眼科学会)。「目が乾く」、「目が疲れる」、「まぶしい」、「ゴロゴロする」など症状は複合的だが、患者が最も困っている症状の改善によって治療効果を判定するという。
まばたきは通常で1分間に20回程度のところ、読書中では10回、PCの作業中は6回、ゲーム中は5回で4分の1に減少する。また最近はまぶたにあるマイボーム腺機能不全による涙の油分の減少や質の低下で、涙が広がらない、蒸発が早いといったケースも少なくない。
小児にはスマートフォンの長時間使用は近視、眼精疲労等につながる可能性が高く、ドライアイ群に使用を4週間中止したところ、自覚症状。臨床所見共に改善したという報告もあるという。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年7月15日号掲載