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学校施設

連載「和食」日本の伝統的な食文化を引き継ぐ(2024・前編)~豊かな地場産物を給食に 船橋市立若松小学校・海神南小学校(千葉県)

2024年7月15日

「和食」は、ユネスコ「世界無形文化遺産」に「和食:日本人の伝統的な食文化」として登録され、料理はもちろん自然を尊ぶ習わしとして生活と共にあるもの。一方、家庭での「和食」の継承は難しくなり、学校や保育施設の給食や食育がその継承に重要な役割を担っている。

2023年11月24日の献立は船橋産黒鯛を使った「鯛めし」など(若松小学校)

(一社)和食文化国民会議では、11月24日の「和食の日」に合わせ、給食における「だしで味わう和食の日」の取組を推進している。学校給食の和食献立の実践を2回にわたり取り上げる。

千葉県では「地産地消」を千葉県の千にかけて、「千産千消」と呼ぶ。毎年11月のいずれか1日を「千産千消デー」として各校で設定し、学校給食に地場産物を活用し、食育を行う取組を実施している。

今回紹介する船橋市の小学校2校は昨年、この千産千消デーに「だしで味わう和食の日」を取り入れ、船橋市で獲れる「黒鯛」のほか、牛乳・米・野菜・肉と、地場産物を多く使用した和食献立を実施した。フードマイレージ等の観点からはSDGsにも繋がる。両校では年間を通じて船橋産・千葉産の食材を積極的に利用しているという。

なお同市の公立小・中学校・特別支援学校計83校には各校ごとに1名の栄養教諭・栄養職員が配置され、それぞれの学校に合わせた細やかな献立と食育が行われている。

若松小学校

美味しい給食をみんなで味わう(若松小学校)

食に関わる多様な体験を 若松小学校

2023年11月24日の「和食の日・千産千消デー」

黒鯛の中骨でだしをとる

の給食は、

船橋漁港水揚げ黒鯛の鯛めし、豚とさつまいものレモンソース和え、大根ときゅうりの三番瀬海苔酢和え、黒鯛のアラ汁みそ仕立て、みかん、牛乳(=写真上)。黒鯛はこの年初めて、漁師や船橋市教育委員会、関係者の協力で給食の食材として活用できるようになった。

 

鯛めしは、廃棄部分だった黒鯛の頭や中骨を活用して、昆布とともにだしをとり、鯛飯とアラ汁に使用した。だしでご飯を炊き、炊きあがったら焼いた身を混ぜる。この日は米、さつまいも、豚肉、小松菜、大根など、千葉産・船橋産の食材を多く使用した。

 

鯛飯 仕上げに焼いた身を入れる

鯛飯 仕上げに焼いた身を入れる

斎藤光栄養教諭は普段の和食献立でも、素材の持ち味を活かすこと、文化を大切にすること、美味しいだしをとることを大切にしている。

斎藤光栄養教諭

「だしは、奥が深く面白い。例えば、昆布は収穫する地域で種類が異なり、甘味や旨味が違うので、献立によって使い分けている。そうした違いなども、子供たちに発信したい」と話す。

 

毎日発行する給食メモ「きゅうしょくだいすき」では、その日の献立や食材の産地の紹介、クイズなどを載せ、学びのある給食を心掛けている。給食の時間には、低学年を中心に各教室に足を運ぶ。「給食を通して、食べることだけでなく、食に関わる様々な体験をして欲しい」。

めにゅーぼー

ある日のメニューボード。日々、食べ物の産地やクイズなどを発信している

 

年中行事を次世代へ 海神南小学校

上野理絵栄養教諭

11月24日の献立は、船橋産黒鯛の鯛めし、千葉産レバーとじゃが芋の大和和え、三番瀬海苔酢和え、船橋産黒鯛のアラ汁、牛乳。同校でも普段から和食献立を積極的に取り入れている。

上野理絵栄養教諭は「米は食物繊維などが摂れ、減塩にも有効」として、普段から米飯中心の献立としている。船橋市では年に5回程度、希少な市内産の米を学校給食で使用できる。同校では昨年の11月、船橋産の2種類の米を丸と三角のおにぎりにして給食で食べ比べを行った。「子供たちに、貴重な食の体験をして欲しい。新嘗祭、冬至など、年中行事に紐づく食の習慣を取り入れる家庭も減る中、学校給食で子供たちに繋いでいきたい」と話す。

クイズに挑戦(海神南小学校)

例えばだしの素材を水に浸す時間はどれ位なのか、算数の教材になるよう時計の写真を給食のおたよりに添える。社会科の授業に近隣の農家を招くなど、各教科の学びと結び付けながら、食の実践に取り組んでいる。

 

 

<後編>は9月23日号掲載予定です。

「だしで味わう和食の日」参加校募集

11月24日は「和食の日」。学校給食で子供たちが和食に触れる機会にしませんか。和食文化国民会議では、全国の保育園・幼稚園・こども園・小学校・中学校・特別支援学校などの学校給食や授業で活用できるリーフレットや、ダウンロード素材、「和食の日」の実践事例の資料などを用意しています。

https://washokujapan.jp/dashi-document/

 

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年7月15日号掲載

関連記事 (2023年連載)

日本の食文化を引き継ぐ

③野洲市学校給食センター(滋賀県)https://www.kknews.co.jp/post_health/kkf09141

②東京都新島村の給食の実践(東京都)https://www.kknews.co.jp/post_health/kkf07211

①江戸川区立小岩第四中学校(東京都)https://www.kknews.co.jp/post_health/kkf06231

 

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