各教育委員会での給食費無償化の動きが注目されるが、2023年度中に無償化を実施した教育委員会数は775(43.2%)で、実施中の4分の3(75.8%)は小・中学校とも全員を対象に無条件で実施。実施の目的は「保護者の経済的負担軽減、子育て支援」が最も多かったが成果目標・指標を設定しているのは約13%で少数派だった。
文部科学省は先ごろ給食費の無償化を実施する教育委員会の実態調査を公表。隔年で実施している学校給食実施状況調査と別途に行ったもの。2023年9月1日現在で、無償化を実施する教育委員会(以下、教委)は775でうち実施中が722、年度中に実施予定が40、年度中に実施したが現在実施していないのが13だった。
実施中(722)のうち、4分の3にあたる75.8%の小中学校は無償化を無条件で全員を対象に実施。一方で20%は「支援要件」を設定。要件の内容では「多子世帯」が88%で最も多く、次いで「学年を限定」だった。具体的な支援方法は大半が「保護者から徴収しない方法」で93.9%。「保護者から一度徴収する」は6.1%だった。
無償化の目的は9割以上が「保護者の経済的な負担軽減、子育て支援」で、「少子化対策」や「定住・転入の促進」等は1割に満たなかった。その目的に対して数値目標や指標を実施しているのは13.4%で、多かった目標・指標は「対象者への支給率・人数・支給額」「住民の満足度アンケート」などだった。
無償化の財源は「自己財源(ふるさと納税、寄付金以外)」が65.8%で最も多く、次いで「地方創生臨時交付金」が32.3%、「ふるさと納税」が10.2%、「都道府県からの補助」が7.2%、「寄付金」0.8%、「その他(交付金、基金、地方債等)」11.9%などだった。
無償化実施の課題として、少数だったが「食育の意識の低下」や「質の低下」を指摘する意見が見られたことは検討するべき部分だろう。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年7月15日号掲載