栄養士養成校で調理実習の授業を受け持っていますが、学生たちは自分の作った料理を記録撮影しています。スマートフォンのカメラ撮影後に、他のアプリ(フード・エディターなど)を利用し、まるでカメラマンが撮ったような画像を加工して見せ合っています。
様々な撮影に関わる用語やコツをお話してきましたが、今回は麺類の撮影の時にフードコーディネーターやカメラマンが利用するテクニックをお伝えします。
麺類をおいしく見せる撮影の場合、麺のゆで時間は規定時間より1~2分短くし、すぐに流水で冷ますと同時に伸びないように締めます。汁を入れるとすぐに水分を吸収し始めるので、麺が伸びて太くなってきます。汁の量もどんどん減ってしまい、3分後にはおいしそうに写せなくなってしまいます。
器の中に底上げ用の網を入れ、器の底から少し上に盛り付けることができます。こんもり盛り付けることがコツです。具材は麺の上にのせ、汁を最後に周りから加え、素早く撮影します。Webサイトにあるような箸で麺を持ち上げる場合、予め箸に何本かの麺をきれいに並べて挟んでおき、汁が麺に絡んだ状態で持ち上げて撮影しています。
また、よく見かける画像のひとつにスパゲティがあります。レストラン等で食事をする際に見た目ではおいしそうだけど、カメラのレンズを通すとおいしそうに見えない場合はありませんか?それは五感がおいしさに繋がって見え方まで影響するからです。湯気が立っていたり、香りが漂ってきたり、自分のために今作り上げたものが運ばれてきたという高揚感も加わって視覚からも後押しされます。
そんな時に、フォークを使い、パスタを数本からませたまま皿の上でクルクル回し、絡んだパスタの量を増やして少し持ち上げてから撮影します。リアル感が増し、おいしそうな撮影ができます。盛り付ける時は、トング等でパスタを少量つかんで回し、盛り付けます。具材等は後乗せします。ソースが残っていたら刷毛等でパスタの表面に軽く塗り付けると綺麗な撮影ができます。
最後に、流れるようなそうめんを盛り付けた画像を取る為のテクニックです。そうめんの帯は取り除いて、木綿糸等で端をまとめて縛ります。そのまま沸騰した湯で規定時間より短めにゆで、伸びないように流水で締めてから盛り付けます。糸は最後まで外さないことと、水に浸けながら流れを作る事を意識して作っています。撮影に役立ててください。
【著者】澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年6月17日号掲載