日本国内の現役医師や医療関係者など有志により気候変動による健康被害に関して啓発活動を行っている「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」が昨年9月、インターネットで実施した、2023年の`最も暑い夏‘をふまえた「気候変動と健康被害の意識調査」では、7割以上が「地球沸騰化時代の到来」を実感し、子育て中の男女約6割が「子供の健康を損なう」と回答した。
また、気候変動が様々な健康に影響すると知った場合、恐ろしいと思う人は8割を超える一方で、気候変動が「非常に影響している」ことについてのトップにあげられたのは「農作物への影響」(52・6%)で、「健康への影響」は33・6%。同プロジェクトは「気候変動による健康被害について、さらに啓発が必要」とした。
米国の疾病対策予防センター(CDC)は、気候変動が人々の健康へ与える影響を具体的な健康被害にまとめている。猛暑による熱中症や脱水症状のほかにも異常気象がメンタルヘルスに影響すること、媒介生物の生態変化による感染症などを予測。CDCが予測する気候変動の事象と健康被害は次の通り。
▽水・食料供給の影響=栄養失調、下痢症▽自然環境の悪化=難民、内戦、メンタルヘルス▽猛暑=暑熱関連疾患(熱中症・脱水症等)、死亡、心不全▽異常気象=外傷、災害関連死、メンタルヘルスの影響▽大気汚染=ぜん息、心血管系疾患▽媒介生物の生態変化=マラリア、デング熱、日本脳炎、ハンタウイルス感染症、ライム病、チクングニア熱▽アレルゲン増加∥呼吸器、アレルギー、ぜん息▽水質の影響=コレラ、クリプトスポリジウム症、カンピロバクター感染症、レプトスピラ症(ワイル病)
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年2月19日号掲載