文部科学省は１月16日、第２回「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」で、「学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループ」（以下、ＷＧ) を設置することを決めた。
同会議では、現在策定作業を進めている「次期教育振興基本計画」の中で議論された「ウェルビーイング（身体的・精神的・社会的に良い状態にあること）」について報告。
新しい時代の学びを実現する学校設備を進める上で、ウェルビーイングの観点を踏まえて議論するため、本会議に「学校施設の質的改善・向上に関するＷＧ」を設置することとした。今後、同ＷＧで、新しい時代の学びを実現する学校施設を具現化するため、ウェルビーイングの観点を踏まえ、具体的な整備事例を収集するとともに、整備した学校施設が教育上・生活上どのような効果をもたらしたかも検証する。また学校関係者の参画による豊かな学びの環境整備の観点から、プロセスも事例収集し、２０２３年度中にアイディア事例集の作成を目指す。
委員からは、子供のウェルビーイングを実現するには、教職員のウェルビーイングを進める必要があると指摘。特に職員室は、整理整頓され、教職員同士のコミュニケーションがとれるよう、居心地の良い場にする必要があるとした。また今後の学校の在り方、教職員の役割の変化を踏まえ、教職員以外の様々な社会人が行き交うコミュニティとして考える必要性も指摘された。
本会議では、昨年11月までに計４回行われた「学校施設の脱炭素化に関するワーキンググループ」の検討内容も報告。
脱炭素化に向けた学校施設の現状と課題をはじめ、先進的に取り組んでいる小中学校の視察、学校施設のＺＥＢ化（※）の実現方法などが報告された。
特にＺＥＢ化を実現するための留意事項として、オーバースペックとならないよう費用対効果を考慮する、日常の点検や補修、定期的な維持修繕が行いやすい計画を立案する、などが示された。
委員からは、「学校施設のＺＥＢ化を計画的に進めるため、各自治体の財源状況に応じて、補助金を組み合わせて活用できるよう示すことはできないか」「既存学校施設では、フルスペックのＺＥＢ化をすることは難しい。段階的な省エネ改修や長寿命化改修に合わせた進め方を示してほしい」などの声が上がった。
本会議の３回目は３月に予定。１、２月に実施される「学校施設の脱炭素化に関するＷＧ」の報告のとりまとめを受けて開催される。
※ＺＥＢ化＝学校施設で消費する年間の１次エネルギーの収支をゼロに近づけること。消費エネルギーを減らすための技術（省エネ技術）とエネルギーを創るための技術（創エネ技術）を組み合わせて実現する。
