夏休み等の長期休業期間から休業明けにかけ、特に18歳以下の自殺が増加する傾向にあることから文部科学省は先ごろ、自殺予防対策として、1人1台端末を活用した子供の「SOSの早期発見」や相談窓口の充実を呼び掛ける「児童生徒の自殺予防に係る取組について」(通知)を発出した。合わせて健康観察・教育相談に端末を活用して早期発見につなげるための無償・有償システムやアンケート作成フォームも紹介した。
通知は「児童生徒の自殺予防においては、児童生徒のSOSを早期に把握し、適切な支援につなげることが重要」だとして、1人1台端末を活用した子供の心身の状態把握、教育相談等も有効な方策の一つだと推奨。無償・有償の健康観察や相談窓口となるシステムを紹介した=下欄の表。
また無償システムを活用したアンケートフォームの作成マニュアルも作成。その活用事例も紹介している。
Googleフォームでいじめアンケートを実施し、収集したデータから表やグラフを作成し可視化することでフォローが必要な生徒をピックアップできる。
Looker Studioによりデータの即時共有、必要な対応策がとれる。また学校生活アンケートの結果を様々に分析が可能。短時間で客観的データを作成でき、学級経営、生徒指導に活かすことができる。
既存の回答項目から感情や気持ちを選択できるので、生徒の毎日のこころの健康観察・生活状況の把握に使用できる。感情表現があまり得意でない生徒でも、キャラクターの選択などから、小さな変化を読み取ることが可能。
クラス全体の状況を俯瞰的に見たり過去との時間経過から把握したりできるので、生徒と一緒に見ることで、他者理解の気持ちを培うことにもつなげられる。
学校が把握した悩みや困難を抱えた子供、いじめや不登校の子供等には本人・保護者との面談、家庭訪問なども加えて対応する。担当教職員が抱え込まず管理職や医療等の専門機関・教育委員会と情報共有し「命の危険を防ぐ万全の体制で対応にあたること」を求めた。
さらに「SOSの出し方に関する教育」等の自殺予防教育を通じて。身近な大人に相談できる力を養うこと。「24時間子供SOSダイヤル」等の電話相談窓口の設置と、校内での掲示やSNS等を通じたその周知を子供たちだけでなく保護者にも含めて積極的に行うことを求めた。
教育委員会が実施しているネットパトロールも早期発見の端緒の一つであることから、長期休業明け前後は「平時より実施頻度を上げるなど集中的に実施」するよう要請。前兆となる書き込みを発見した場合は即時警察に連絡・相談し、書き込んだ子供を特定し安全確保につなげるよう求めた。