環境教育の生きた教材でありCO2削減の一環としても、意義があるとされる学校施設への木材利用を文部科学省が推進している。同省が先ごろ公表した2021年度の公立学校施設の木材利用状況調査では、年間に新しく建築された全学校施設(690棟)のうち75・4%(520棟)が木材を使用。木造施設は3万1904棟で、全施設の8・7%に相当した。
調査は全国の公立学校施設(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)を対象に実施された。
2021年度に新しく建築された全学校施設は690棟で、このうち18・1%(125棟)が木造施設だった。校種別にみると幼稚園が29棟のうち10棟で3分の1を占めて最も木造の割合が高かった。次いで高等学校(25・0%)、特別支援学校(21・6%)も2割以上だった。
非木造施設は565棟だったが、そのうち6割近くの57・2%に上る395棟は内装を木質化した施設。いずれの校種も半数以上が内装木質化施設で、義務教育学校は70・8%、高等学校が64・7%だった。
木造施設が125棟、非木造施設の内装木質化施設が395棟で、合計520棟が木材を利用。新しく建築された学校施設の75・4%に相当している。
学校施設の用途別にみると、最も多かった木造施設は倉庫、屋外便所など「その他」(51棟)で、次いで「校舎・園舎」(44棟)、「寄宿舎」(20棟)、「屋内運動場」(9棟)、「武道場」(1棟)の順。一方、非木造施設の内装木質化では「校舎・園舎」が251棟で最も多かった。次いで「屋内運動場」(71棟)、「その他」(60棟)、「武道場」(11棟)、「寄宿舎」(2棟)などの順だった。
使用された木材の量は、木造施設に1万3818㎡、非木造の内装木質化には3万4367㎡で、合計で4万8185㎡。このうち57・1%にあたる2万7527㎡が国産材の使用だった。
さらに全使用木材量から炭素貯蔵量(CO2量)に換算すると約2万9000tで、約1万世帯の年間の排出CO2量に相当する。
文科省は「学習環境の改善」、「地場産業の活性化」、「地球環境の保全」、「地域風土や文化との調和」などの観点から教育施設の木材利用を推進。木造校舎の整備や内装の木質化に対する国庫補助を行っている。
国庫負担率及び交付金が、「新増築」では1/2(原則)、「改築、大規模改造等」では1/3(原則)。さらに地域材を利用した整備には、補助率が5%加算される。
その他、林野庁、国土交通省と連携して事例紹介や施策説明の講習会を毎年実施。CLTを活用した学校施設等の事例を取りまとめた「木の学校づくり 学校施設等のCLT活用事例」、エコスクールとして内装木質化を実施した学校を紹介したパンフレット「エコスクール~環境を考慮した学校施設の整備推進~」などの資料作成・配布を進めている。