食べるとおいしい料理なのに、スマートフォンやデジタルカメラで撮影してみると、何となくおいしさを伝えきれていないと思いませんか。プロカメラマンじゃないから素人には無理…そんな風に思いがち。でも、プロが気をつけていることを真似るだけで、おいしそうな写真が撮れます。
献立を撮影する時、どの位置に食器を配置しますか?普通は手前に主食(ご飯・パン)、汁物(味噌汁・スープ)、後方に主菜、副菜(小鉢・サラダ)、デザート・飲料だと思います。
ここで最も目立たせたいのは主菜です。主食や汁物は炊き込みご飯や具沢山の汁物以外は脇役と考えます。
この配置を「構図」と言い、「日の丸構図」、「対角構図」、「三角構図」があります。日の丸構図は、撮影したいもの全てを中心に置いて撮ります。落ち着いて安定して見える半面、誰でも撮れて面白みに欠けます。対角構図は、被写体を画面の対角線に大胆に置いて撮ります。躍動感が生まれやすい反面、傾いたりしがちです。三角構図は、メインの料理を中心に三角形を描くように配置します。安定感があり複数を一緒に写す時も無理なく見やすい画像になります。
次の注意はカメラやスマートフォンを構える角度です。被写体に対するカメラの角度(高さ)を「アングル」と言い、座った目の高さから撮影する「アイレベル」を基本に、約45度斜め下に被写体おいて撮影します。
その高さより高い位置から撮ることを「ハイアングル」。逆に低い位置から撮ることを「ローアングル」と言います。また被写体に近づいて撮ることを「寄り」で撮る、離れて撮ることを「引き」で撮ると言います。
斜めから撮影する画像は「斜俯瞰」と言いボリューム感や立体感が表現できます。真上から撮影する画像は「真俯瞰」と言い、テーブル全体の彩や配置が伝わりおしゃれな雰囲気になります。
様々な撮り方を試して、理想の構図やアングルを探してみましょう。
代表的な構図とアングルの画像を見比べてください。献立の撮影をする時、すべての料理を映したい場合、主菜を中心に置き、ご飯や汁物は少し小さめの器に入れるとバランスがよくなり、更に真俯瞰で撮影すると良いでしょう。最近のインスタグラム等で流行っている写し方です。
食器の配置にはセオリーがあり、崩しにくいものですが、少し変化をつけることで写真の見栄えが変わります。食器の向きを変えたり、手前や奥に移動したりすると、動きやバランスが変わっておいしそうに見えます。
【著者】澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年6月19日号掲載