文部科学省が先ごろ公表した2022年度「英語教育実施状況調査」の結果によると、小学校から高等学校まで全校種で95%以上がICT機器を活用しており、前年度調査との比較では特に高等学校での増加が大きかった。さらに今回の調査で初めて、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)/B1(英検2級)レベル以上生徒の割合が高い高等学校ほど「ICTを活用した言語活動」、「ALTによる授業外活動」を行っていることが分かった。
調査はすべての教育委員会、公立小・中・高等学校で2022年12月1日、文科省Web調査システムで実施。
第3期教育振興基本計画の目標「中学卒業段階でCEFR/A1レベル(英検3級)相当以上の生徒割合50%」は49・2%で未達だったが、21年度(47・0%)、20年度(44・0%)から徐々に上昇。高等学校の目標CEFR/A2レベル(英検準2級)相当以上の生徒割合50%以上に対しては、48・7%で未達だった。
さらに今回調査で初めて、B1レベル相当以上生徒の割合についても算出したところ、全体で21・2%に上り、5人に1人だった。B1レベル相当以上生徒の割合の高い高等学校では「ICTを活用した言語活動」や「ALTによる授業外の活動」を行っている割合が髙いことが分かった。
例えば「生徒が遠隔地の生徒等と英語で話をして交流する活動」は全体で23・5%だったが、B1レベル相当以上生徒の割合の高い高等学校では32・8%で10ポイント近くの差。「教師がデジタル教材等を活用した授業」では全体が77・6%だったところ、83・5%で6ポイント近く上回った。
ICT機器の活用状況をみると「教師がデジタル教材等を活用した授業」は小学校99・8%、中学校99・7%、高等学校98・3%でほとんどの学校が行っている。また「児童生徒がパソコン等を用いて発表や話すことにおけるやり取りをする活動」は中学校が90・8%で最も割合が髙く、高等学校は86・9%、小学校が85・3%でいずれも9割近くが行っている。
昨年度比では小中学校が「遠隔地の教師やALT等とティーム・ティーチングを行う授業」、高等学校の「児童生徒が遠隔地の英語に堪能な人と個別に会話を行う授業」がわずかに減少した以外、ほとんどの活動が増加。特に増加が大きかったのは「児童生徒による発話や発音などを録音・録画する活動」、「児童生徒がキーボード入力等で書く活動」で、各校種約10ポイント以上、高等学校では約20ポイントで3割以上の増加だった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年6月19日号掲載