学校給食では「地場産物の活用」や「地産地消」の取組が進んでいる。農林水産省の「食生活・ライフスタイル調査」によると地域の農作物や特産物を「たくさん知っている」のは全体の1割、「まったく知らない」が3割に上った。一方、食への‘感謝の気持ち’を感じるのは「おいしい食材や料理を食べたとき」、「旬の食材や季節を感じる料理を食べたとき」が多かったことから、学校給食が果たす役割の大きさを示す結果だった。
農水省は3月31日、食と農への意識や日常の食事の実態を把握する目的で実施した2022年度の「食生活・ライフスタイル調査」の結果を公表した。全国の15歳から74歳の男女4000人が対象で、昨年11月にインターネットで調査。全35問にわたる調査結果を男女別、年代別、地域別で比較した。
自分の居住する都道府県や市町村で作っている農産物や特産物を「たくさん知っている」のは、全体の1割強。「数品目なら知っている」が約5割で、「全く知らない」も約3割に上った。「たくさん知っている」「数品目なら知っている」を合わせて最も多かったのは男女供に65~74歳、次いで55~64歳だった。「たくさん知っている」が3番目に多かったのは15~24歳の若い年代だったことが注目される。
エリア別で「たくさん知っている」が最も多かったのは北海道の23・0%で全体の2倍以上。次いで四国が19・5%、東北と北陸がそれぞれ17・6%、16・9%だった。一方で関東は7・4%、近畿が9・3%など、1割に満たなかったのが都会エリアだった。
食についてどのような場面で「感謝の気持ち」を感じるかを尋ねた設問では、全体の5割近くが「おいしい食材や料理を食べたとき」と回答。次いで「旬の食材や季節を感じる料理を食べたとき」で3割以上。さらに「一緒に食べている人と食材に関する会話をしたとき」も2割近く。男女やエリアによる大きな違いはなく、全体がほぼ同じ傾向だった。
学校給食は食育の「生きた教材」であるとして、おいしさの追求はもちろんのこと、献立の作成には、旬の食材や地場の新鮮な食材を取り入れる工夫が行われている。学校給食の意義はますます重要だと言える。
食や農に関する情報の入手経路は、「テレビ」が全体の約6割で最も多く、次いで「インターネット(ニュースサイトなど)」が約4割だった。日常のニュースや新しい話題の入手経路と比較してもほぼ同じ傾向となっている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年4月17日