不登校児童生徒を受け入れる「不登校特例校」は2023年3月で全国21校設置されているが、早期に全都道府県等の設置を目指し、1人1台端末の活用で自宅等でオンライン指導を受けられるなど「学びたい時に学べる環境」を整備。毎日の心身の健康状態をチェックし不登校の早期把握につなげるなど、文部科学省は3月末、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)をまとめ、全国の教育委員会教育長等に通知した。
約30万人に上る不登校の児童生徒だが、そのうち約15%が学校内外の専門機関で相談・指導等を受けていない現状から、文科省は「学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指す」という永岡文部科学大臣を本部長とする不登校対策推進本部を設置。進捗を管理しながら「普段の改善を図っていく」と説明する。
同プランの骨子は「不登校児童生徒が学びたいと思った時に学べる環境の整備」。不登校特例校や校内教育支援センターの設置などを進め、個々のニーズに応じた受け皿を整備。同センター等が地域拠点となり児童生徒、保護者に必要な支援を行うこととする。
不登校児童生徒を受け入れる「不登校特例校」は今年3月で全国に21校で整備が留まっている。今後は早期に全都道府県・政令指定市の設置を進め、将来的には希望する児童生徒が身近に通えるよう300校程度の設置を目指すという。運営には支援実績があるNPO、フリースクール等の民間施設との連携を通して体制の構築・ノウハウの共有を行う。
「教育支援センター」は児童生徒だけでなく保護者が必要な相談・情報提供等の支援の強化を期待。学校内の落ち着いた空間で自分のペースで学習・生活できる「校内教育支援センター」(スペシャルサポートルーム)を設置。各学校の支援スタッフや学校ボランティアの活用・協力を求める。
ICTを活用し「教室以外の学習等の成果の適切な評価」を実施する。教室以外の場所でも、配信された教室の授業を受講することで、可能な限り指導要録上の出席扱いとし、本人の進学希望により成績評価に反映することも望まれる。
さらに「学級替え、転校等の柔軟な対応」についても言及。不登校の原因にいじめや教員の不適切な指導がある場合、適切な配慮が可能であると述べる。また中学校卒業により支援が途切れることがないよう、「高等学校等の生徒を含めた支援」も必要だとする。電話・SNSによる相談、オンライン活用でSC、SSWの支援などを求める。
「改めて中学校等で学び直すことを希望する者への支援」について、夜間中学がある地域はその入学要件等を説明することが考えられるという。
「学校風土の『見える化』」によって、安心して学べる学校づくりを進める事が期待されるという。授業への満足度や教職員への信頼感等の‘学校風土’を関係者が共通認識することを提案。そのため文科省が、学校風土の把握のためのツールを整備することを検討、通知すると提案した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年4月17日