性差に配慮した医療・ヘルスケアの重要性が注目される中、城西国際大学はセミナー「ウィメンズヘルスケアの視点から考える骨盤底筋機能性維持の重要性」を3月7日に開催。女子生徒への骨盤底筋トレーニングや、性多様性を踏まえた今日求められる性教育の必要性が話し合われた。
同学看護学部看護学科の清水清美教授が「女性が自分のからだを知る~新概念 プレコンセプションケア~」と題して講演。日本は晩婚・晩産が急速に進み女性の未婚率が高まり、40歳の約2割は未婚という状況。出産年齢も高まっているため、自分の月経と長期にうまくつきあうことが求められると提起した。
女性ホルモンが高まる第1子出産年齢の頃に月経不振や月経異常などの症状に悩まされ、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気にかかる人も多い。閉経年齢の頃には女性ホルモンが減少し動脈硬化や脳卒中などの女性特有の変化が見られる。
「幼いころから性の多様性を理解し、ジェンダー平等などが築けるように包括的性教育を進めることが大事」と語る。
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福祉総合学部理学療法学科の横井悠加准教授は「骨盤底筋機能の最新ケア」と題して、尿漏れなどの予防に骨盤底筋トレーニングの必要性を説いた。女性のライフステージは「小児期」「思春期」「性成熟期」「更年期」「老年期」に分けられ、妊娠可能な「性成熟期」、閉経する「更年期」に骨盤底に大きな変化が見られるという。
骨盤底には尿道などを締める機能があり、尿漏れなどを防ぐため骨盤底を締めるトレーニングが大事。特に産後は「咳やくしゃみ、スポーツ活動時には尿漏れに注意が必要」と指摘した。骨盤底には膀胱・子宮・腸などの臓器を支える機能がある。女性は年齢とともに骨盤底の機能が衰え、これらの臓器が体の外に出てくることがあり、トレーニングはこれを防ぐ意味があると説明。
「欧米では約7割の高校生が骨盤底筋の収縮弛緩トレーニングを体験。産前から収縮感覚を得ることが大事で、日本でも体育の授業に取り入れてほしい」と提案した。
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講演後、同学広報室の上杉恵子氏がモデレーターで「ウィメンズヘルスケアの現在と未来」と題して、清水教授と横井准教授が対談。清水教授は「何歳で妊娠するか、多様性の時代で大きく異なるが、妊娠・出産のリミットがあることは知るべき。そうした知識は子供の頃から身につけておくことが大事」と述べた。横井准教授は「骨盤底筋トレーニングで、多くの女性が体の状況が改善して喜んでいる。女性が活躍するためにも制度的にサポートしてほしい」と国の協力を求めた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年3月20日号掲載