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教科担任制 導入効果を「見える化」~文科省 11小学校の事例集公表

2023年3月20日

中央教育審議会の答申をうけ文部科学省は2022年度から、小学校高学年の教科担任制の導入に向け教職員の加配定数を措置するなど推進しているなかで先ごろ、同制度を小学校の活性化につなげている5都道県の11小学校の好事例を事例集にまとめ公表した。同制度の特徴や運用の工夫、効果を「見える化」することを目的にしたもの。

中教審の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」(令和3年答申)で、2022年度を目途に同制度を本格的に導入する必要があるとされたのを受け、文科省は義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議を設置。同会議の20217月「報告」では、同制度の効果として①授業の質の向上、②小・中学校間の円滑な接続、③多面的な児童理解、④教員の負担軽減の観点から整理。これらの効果を最大限に発揮することが、制度導入の目的だとしている。

事例集でも4点による整理を踏襲し、それぞれの事例が主に①~④のどれに該当するのかについて、分かりやすく示している。各事例の掲載内容は「学校(組織)の概要」、「取組の概要」、「実施にあたっての工夫」、「効果・意義」、「課題と今後の方向性」で構成。特に「効果・意義」では「報告」で整理分類された①~④に沿って、管理職、学級担任、専科教員、児童のそれぞれが「感じる効果・意義」に分類している。

小学校高学年における教科担任制は、新しい学習指導要領が求める外国語(英語)の教科としての授業の実現、教員の働き方改革の推進をはかるための取組。前出の報告は、「教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導と中学校の学びに繋がる系統的な指導の充実を図る観点から、外国語、理科、算数及び体育について優先的に専科指導の対象とすべき」と述べている。

4点の導入効果

また①~④の効果について説明は次の通り。

①授業の質の向上=教員が担当する教科数の減少や授業外の時間の増加で、教材研究が充実する、同じ授業を複数回実施することで授業改善が図られ、児童の学習内容の理解をはじめ学力に高まりが見られる。

②小・中学校間の円滑な接続=児童が中学校に進学した際に学習・生活に順応しやすい。そのためには同一中学校区内の小・中学校の教師間の連携が重要で、中学校教員が小学校と兼務する乗り入れ授業により教科担任制を実施する場合、小・中学校の教員間の連携が深まり、相互に学び合う状況が日常となる。

③多面的な児童理解=複数の教員が教科指導に当たるので、多面的な指導・支援ができるほか、学級担任以外にも相談できる教員ができる。複数の教員が授業を通じて学年全体の児童の様子に目を配ることになり、学年全体の状況を常に意識し、児童の情報共有等を通じて教員間の連携が深まる効果がある。

④教員の負担軽減=教員が担当する教科数の減少、授業外の時間の増加により教材研究の充実等とともに時間外勤務の縮減に寄与。授業交換を実施する場合を含め、授業準備の効率化につながっている。教育の質の向上と教員の負担軽減を一体的・効果的に進めることが期待できる。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年3月20日号掲載

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