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学校施設

第92回【教職員のメンタルヘルス】神経使う担任決め、学年配置

2023年3月20日
連載

モチベーションが上昇傾向の教員。4月から昇進、昇格予定の教員。今年度で退職予定の教員。一方、モチベーションの低下が心配な教員。部活の指導がしたくて中学校教師になった教員。今年度の異動が延期になった教員……「転勤は何よりの研修である」と言われますが、管理職でも一般教員でも、異動先の学校でうまく職場適応できるかどうかは一番の関心事です。

最近ではベテラン教師でさえ異動してすぐ職場不適応を起こす人も見受けられます。異動先では前任校での習慣や感覚を一旦リセットしていくことをお勧めします。大学卒の初任者なら、塾講師だった時のアルバイト意識や教育実習の場のお客さん感覚とは違うことを自覚してスタートすることです。

■校務分掌等には要配慮

来年度の人事を決める時期には、学級担任の頭数が足りないと頭を抱える管理職が珍しくありません。「担任は持てません」とか、「低学年しか担任できません」と条件を付ける教員が増えているからです。さかのぼって調べると、その教員は前任校でも同じ学年しか担任していなかったということがあります。それには何か深い事情があるはずですが、そのあたりの情報が前任校の校長から知らされていない場合などは、その教員に関する担任決めや学年配置には特に神経を使います。その時の管理職は、穴が開いたところに順番に人を埋めていくような作業で、まるで詰将棋をしているような気分です。

一般企業ではそのような理由は通用するわけもなく、「だから教師の世界は…」と非難される一因ではないでしょうか。子育て中や介護が必要なご家族をお持ちの教員等、事情がある方は配慮を要します。本来は様々な学年を経験することに越したことはありません。しかし現実には難しい課題が山積のようです。

■初任者は孤立しがち

職場内における休職は校務分掌内における人間関係の軋轢や管理職との相性の悪さなど、メンタル悪化が要因になっています。職場内での人間関係のトラブルの場合、環境を変えることが難しいためにやむを得ず(本来ならば認められないのですが)、本人を異動させて環境改善を図ることで問題解決に至るケースも稀にあるようです。

また、1人だけの初任者が含まれている学年の例では、初任者が周囲の先輩教員の仕事のスピードについていけず、孤立してしまうケースが増えています。「わからなかったら、いつでも聞いてね」と初任者には伝えているのですが、初任者からすると「どこがわからないのかがわからない」のです。また放課後、職員室に戻って聞こうと思っていても、先輩たちは忙しそうにしているので声をかけづらい。話を聞きたい教員が子どものお迎え等があり、早く帰宅してしまうので物理的に聞く時間がない、などの理由を挙げています。

■能動的な意思疎通を

無視したりハラスメントをしたりしているわけではないのですが、今の若手教員は「雑談の中で吸収する」という経験が乏しく、「何かあったらいつでも聞いてね」という受け身の姿勢だけでは意思疎通が成立しないようです。そのため、周囲の人間が定期的に話を聞く時間をルーティーンとして設定したり、年の近い先輩教員がマンツーマンで一年間公私ともに面倒を見る「メンター制度」等を活用し初任者とのコミュニケーションを図っている学校も増えているようです。

そんな中でも、臨時任用教員の初任者の場合には特に配慮が必要です。臨任1年目教員には、原則として初任者指導教員が張り付かないため、指導の盲点となりやすいのです。誰も知らないうちにメンタルを悪化させ、ある朝突然、医師の診断書を持参して「今日から休みます」とならないように気配り・目配り・心配りをお願いします。


土井一博(どいかずひろ)=順天堂大学国際教養学部 客員教授

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年3月20日号掲載

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